ホンダは、「フィット ハイブリッド」と「ヴェゼル ハイブリッド」のリコールを国土交通省に提出した。ハイブリッドシステム「SPORT HYBRID i-DCD」を搭載する車両としては4回目となる。走行モーターの制御プログラムが不適切なため、時速10km以下での極低速走行にアクセルを踏むと、一瞬だけ時速1km程度増速するなどの不具合が発生するという。
ホンダは2014年7月10日、2013年9月発売の「フィット ハイブリッド」と同年12月発売の「ヴェゼル ハイブリッド」のリコールを国土交通省に提出した。対象となるのは、2013年7月〜2014年7月に製造した17万5356台。内訳は、フィット ハイブリッドが13万1040台、ヴェゼル ハイブリッドが4万4316台。
リコールの原因は、ハイブリッドシステム「SPORT HYBRID i-DCD(以下、i-DCD)」の走行モーターを制御するプログラムにあった。発生する不具合は2種類ある。1つ目は、ECU(電子制御ユニット)が検知し学習しているクラッチ推定摩擦特性と実クラッチ摩擦特性がずれた状態で、モーターだけを用いるEV走行モードでの走行中に、モーターを使ってエンジンを始動する場合で、モーターから過大な駆動力が発生し、車速が一瞬増加する恐れがある。
具体的には、EV走行モードによって時速10km以下で極低速走行をしている際に、加速のためアクセルを踏み込むと発生する。先述した「車速の一瞬の増加」は時速1km程度ということで、車両外装に傷が付くなどの物損を除き大きな事故には至っていない。
2つ目は、エンジン走行モードでの停車中にシフトレバーをDまたはRに操作して発進する際のギヤのかみ合い動作の間や、EV走行モードで急勾配の坂道にゆっくり進入し、一時停止してエンジンを始動した時にアクセルペダルを強く踏込むと発生することがある。1つ目の不具合と同様にモーターから過大な駆動力が発生し、車両が急発進するおそれがあるという。
不具合の発生件数は1つ目が14件、2つ目が30件。これらのうち、物損事故が1つ目で5件、2つ目で6件起きている。
改善措置としては、ディーラーなどでECUの制御プログラムを書き換えを行う。作業時間は、「店舗の込み具合にもよるが、約1時間半で完了する見通し」(ホンダ広報部)だという。
i-DCDを搭載する車両のリコールは、2013年10月、2013年12月、2014年2月に次いで4回目となる。これまでの3回は、i-DCDの7速DCT(デュアルクラッチトランスミッション)の制御プログラムが不具合の原因になっていた。今回は、不具合原因が、7速DCTではなく、モーターの制御プログラムにあった点が異なっている。
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