マツダは、新世代技術「SKYACTIV」を採用した排気量1.5l(リットル)のクリーンディーゼルエンジン「SKYACTIV-D 1.5」を開発した。新型「デミオ」に搭載して国内市場で販売する計画。ハイブリッド車と軽自動車を除く登録車で、最高のモード燃費を目指すという。
マツダは2014年6月10日、新世代技術「SKYACTIV」を採用した排気量1.5l(リットル)のクリーンディーゼルエンジン「SKYACTIV-D 1.5」を開発したと発表した。SUV「CX-5」や「アテンザ」、「アクセラ」などに搭載している、排気量2.2lのクリーンディーゼルエンジン「SKYACTIV-D 2.2」と同様に、高コストのNOx(窒素酸化物)後処理装置を使わずに、国内のディーゼルエンジン搭載車に対する排気ガス規制「ポスト新長期規制」をクリアできたことから、現在開発中の新型「デミオ」に搭載して国内市場で販売する計画だ。
SKYACTIV-D 1.5は、SKYACTIV-D 2.2と同様に圧縮比を低減することによって理想の燃焼を追求したクリーンディーゼルエンジンだ(関連記事:段違いのクリーンディーゼルだから国内市場でも受け入れられる)。一般的なコモンレールシステムを搭載するディーゼルエンジンの圧縮比は16程度だが、SKYACTIV-D 1.5は圧縮比を14.8まで低減している。ただし、SKYACTIV-D 2.2の圧縮比である14よりも少し高い。
SKYACTIV-D 1.5では、SKYACTIV-D 2.2と比べて追加採用した技術が4つある。1つ目は、高分散噴霧のソレノイドインジェクターと段付きエッグシェイプピストンである。これらによって火炎の壁面接触低減と過渡燃焼制御技術を実現し、冷却損失を抑制した。
2つ目は、高圧EGR(排気ガス循環)&低圧EGRシステムだ。これによって均質リーン化領域を拡大し、燃費性能や出力性能を高めた。
3つ目は、エンジン冷却システムへの冷却水制御バルブ(CCV)やウォータージャケットスペーサーの採用で、燃焼効率改善と機械抵抗低減につなげた。
4つ目として挙げられるのが、吸気管一体式水冷インタークーラーである。これによって、加速の反応性と過給効率を向上した。
SKYACTIV-D 1.5の最高出力は77kW(4000rpm)で、最大トルクは250Nm(1500〜200rpm)。排気量が1.5lと小さいにもかかわらず、「排気量2.5lのガソリンエンジン並みのトルクフルな走りと、高回転までリニアに加速する優れた動力性能を実現した」という。
新型デミオでは、このSKYACTIV-D 1.5の他、アイドルストップシステム「i-stop」や減速エネルギー回生システム「i-ELOOP」、高効率の自動変速機「SKYACTIV-DRIVE」やマニュアル変速機「SKYACTIV-MT」など、これまで発表しているSKYACTIV技術の多くを搭載する予定。それによって、「ハイブリッド車、軽自動車を除く、内燃機関搭載車として最高のモード燃費と大幅な実用燃費の改善を図り、全てのお客様に走る歓びと優れた環境、安全性能を届ける」としている。
なお同社が2014年3月開催の「第84回ジュネーブ国際モーターショー」で発表した小型車のコンセプトカー「マツダ跳(HAZUMI)」も、SKYACTIV-D 1.5を搭載していた。マツダ跳のデザインが、新型デミオ(海外名:Mazda 2)のベースになるという意見も多い。
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