オートデスクは、自動車の意匠設計に広く用いられているサーフェスモデラー「Alias」とビジュアライゼーション用ツール「VRED」の最新バージョンを発表した。
Autodesk(以下、オートデスク)は2014年5月29日、自動車の意匠設計に広く用いられているサーフェスモデラー「Alias」とビジュアライゼーション用ツール「VRED」の最新バージョンを発表した。商品名はそれぞれ「Autodesk Alias 2015」と「Autodesk VRED 2015」である。
Autodesk Alias 2015は、Aliasの操作に不慣れなユーザーでもスムーズに作業が行えるように、機能紹介ムービーを表示するなどユーザーインタフェース(UI)が改良された。「クラスAサーフェス」と呼ばれるより詳細な意匠を作成する機能も強化されている。Autodesk VRED 2015も、アニメーションの作成が簡単になるなどUIの改良が施された。ビジュアルシミュレーション機能が強化された点も大きな特徴。シミュレーションツールで事前に計算された光の挙動を、レイトレーシングで用いられるRayファイルとして取り込み、数値で定義した光の屈折や反射を表現することが可能になった。
今回の新バージョンは、AliasでVREDの機能の一部を使用してサーフェスモデルの品質評価を行ったり、Alias作成したデータを直接VREDに転送したりする機能を搭載している。これらのように両ツールを連携させるための機能を拡充することにより、ユーザーは2つのツールをシームレスに使えるようになった。例えば、Aliasで作成したデータをすぐにVREDに転送して、広告や展示会、打ち合わせなどに使う資料を作成する作業がスムースになるといったメリットが得られる。
自動車の意匠設計を行う工程は幾つかの段階に分かれる。まず、どのようなコンセプトにするかを決めて、次にそのアイデアを3次元CADで立体化してから、自動車の意匠を作り上げていく。その後、クレイモデルを実際に製作してからさまざまな検証を行い、量産モデルの設計開発に移行していく。オートデスクでISM(Industry Strategy and Marketing)担当シニアインダストリーマネジャーを務めるDetlev Reicheneder氏は、「工程が進んでいくと、徐々に当初のデザイン意図が失われてしまう傾向にある」と語る。その理由は、「各デザイン工程の業務で使用しているツールが異なるため、シームレスにデータのやりとりを行うことが難しく、膨大な量のデータを再作成するといったロスがあるからだ」(Reicheneder氏)という。
AliasとVREDの2製品でシームレスな連携可能となったことにより、意匠の設計開発工程でのロスが減って、業務ワークフロー全体でコンセプト段階でのデザイン意図を活用できるようになる。
Reicheneder氏は、「例えば、サーフェスモデルのデータと風景画像をコンピュータ上で一体化し、よりリアルなイメージを作成することで、デザインの意思決定や他部署、協力会社とデザイン意図を共有するためのサポートができる」と述べている。
オートデスクは、意匠設計工程のさらなるシームレス化を目指し、自動車の意匠設計を担当するデザイナーが必要とする、ポリゴンやサーフェス、ソリッドモデルも扱えるコンセプト設計向けの3次元CAD「Earl」の開発にも取り組んでいる。2015年前半に発売する予定だ。
新版のVREDは、仮想の3次元空間の中に自身が入り込んだような体験ができるヘッドマウントディスプレイ「Oculus Rift」をサポート。自動車の意匠設計の3次元データを3次元の仮想環境に置いて評価できる。例えば、展示会やディーラーの実店舗で、車種、ボディカラー、素材、周囲の風景による見え方の違いなど、さまざまなバリーエションを3次元空間で体験できるというわけだ。
Autodesk Alias 2015とAutodesk VRED 2015の価格は以下の通り。
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