弱点は「見通しの甘さ」――日本含むアジア企業のリストラ増加を再生請負人が警鐘モノづくり最前線レポート(2/2 ページ)

» 2014年05月23日 18時10分 公開
[三島一孝,MONOist]
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アジアではなぜ危機が予測される企業が多いのか

 また今回の調査では、アジア太平洋地域において事業再生を阻害する固有の課題として82%の回答者がステークホルダーとビジネスリーダーの「現実離れした期待」を挙げた。「株主や企業の経営者が甘い期待と楽観的な見通しで企業運営を進め、結果として事業再生にとどまらず破綻に至るケースなどもある」とアリックスパートナーズ・アジア マネージングディレクターで日本共同代表の深沢政彦氏は述べている。

阻害要因 事業再建を妨げる要因(クリックで拡大)

 欧米に比べてなぜアジアは「現実離れした期待」で「甘い見通し」を作ってしまうのだろうか。野田氏は「破綻企業の多くに『現実離れした期待』が要因としてあることは、どの地域も変わらない。しかし、多くの欧米企業は『現実離れした期待』を早めに修正する機能や環境があるため、それが通りにくいということが要因としてある。社内において目標や計画に対する議論を徹底するような機能があり、社外ではステークホルダーの厳しい目がある。これらに応えられなければ経営陣は退陣ということになる。日本を含むアジアはそういう環境にない」と問題点を指摘する。

 しかし法的な整理など致命的な状況に陥らないようにするには、余力のあるうちに事業再建に取り組み、構造的な不況を解決しなければならない。そのためには「現実的な見通し」が必須となる。

 「日本企業にも、市場が成長していないのに自社の売上高だけが伸びているというような『楽観的過ぎる事業見通し』を出す企業が多く見られるが、事業再建においては、非現実的な見通しを現実的な見通しへと引き直すことが第一歩となる。地に足を付けた現実的な計画が重要だ」と野田氏は警鐘を鳴らしている。



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