その“ブレなさ過ぎるスバルらしさ”に疑問を感じる部分と言えば、あのボンネットのエアインテーク。穴です、ボンネットの穴。
私もレヴォーグのプロトタイプ試乗会で、開発陣にかなり強く詰め寄りました。あの穴はイマドキ必要なものなのか。それともスバルとしてのアイデンティティーを示すために、なかば見せ掛けて作っているのか。もしくはあれが最高にクールだと思っているのか、などなど。
スバルでは水平対向+ターボのクルマにはあの穴が空いています。かつてのターボが出力を上乗せするための道具にされていた、ダウンサイジングターボのようなエコ方向とは真逆の技術に使われていた時代に大流行した穴です。直線番長に名乗りを上げるクルマには必ずあの穴が誇らしげに口を開けていたものでした。
だから、アレがある限り永久にエコのイメージからはほど遠くなってしまいそうなのは、あの穴がかつて「どっかん高出力ターボ」の象徴でもあったから、という世代の人はいらっしゃるかもしれません。
そもそもターボというものは、エンジンの排気の力を利用して、燃焼室に送る空気を圧縮し、空気をなるべく多く小さな燃焼室に送り込むというもの。その圧縮の際に生まれる熱を冷やし、同時に圧縮空気の膨張を抑えるのが、インタークーラーという冷却機なんですが、その冷却用の空気を取り込むための穴がアレなのです。
スバルの水平対向エンジンはマウント位置が低いので、インタークーラーをエンジンの真上に搭載できます。そしてインタークーラー用の空気をそのすぐ上から取り込める(ダクトが長いと損失になっちゃので)ということなんですが、かつてはそれを高濃度のガソリン噴霧とともに出力アップにバカスカ使っていました。直噴でなるべくうす〜く燃料を噴霧(希釈燃焼=リーンバーンですね)する今の時代になっても、やっぱり効率に対する考え方は一緒なわけで、技術者いわく「もうこれ以上絞られてもカッスカスで何にも出ません! というところまで効率を上げていますから、あそこに穴が無ければ無理なんです(涙)」とその苦労を語っておられました。お、お疲れさまです。
もちろんエコに関する技術はエンジンだけではありません。1.6lのDITには専用のリニアトロニック=CVTが組み合わせられます。これも従来のCVTを食わず嫌いしているひとにこそ乗ってほしい。とても滑らか。静かですし!
最後に“命を乗せて走る商品”である自動車にとって、最高に魅力的なEyeSight(Ver.3)について少し触れておかなくてはいけないでしょう。
スバルの装着可能車の中では、実に8割を超える装着率を誇る運転支援システムのアイサイトも第3世代になりました。
以前この連載でも紹介したアイサイトは第2世代。記事をご参照頂ければお分かりかと思いますが、これは2つのカメラで前方を画像としてモニタリングし、衝突事故などを予防する技術です。
その2つのカメラが、第3世代ではモノクロからカラーになり、より認識力が強化されています。
ということは、ガラケーのモニターもカラーという今どきの時代に、先代まではモノクロカメラを使用していたのかとなりますが……そうです。そうなんです。その理由は「カラーだと情報処理が膨大になり、認識順位に混乱が生じる可能性があったから」なんです。
しかしその問題点をクリアし、第3世代からカラーとなったのは素晴らしいこと。
これにより、危険の認識力(視野角・視認距離)が約40%向上したのはもちろんのこと、プリクラッシュブレーキが動作する際に衝突回避が可能な速度差を時速50kmに引き上げました。全車速追従型クルーズコントロール(ACC)では、先行車のブレーキランプを認識できるので、早めの減速によるスムーズな追従も可能になっています。
また、ACCを作動させて時速65km以上で走行している際には、走行車線両側の白線を認識し、車線の中央を走行してくれる(!)という新しい機能も。逆に車線から逸脱しそうになったときは、警告とともに強制ハンドルで逸脱を防止してくれるという、こちらも欧州高級車に搭載されているような技術も盛り込まれました。
コレは……もう……ちょっとした自動運転ですやん…!!
今回は私が大好きな1.6lのDIT搭載モデルのみにお話を絞りました。どうしてそこまで1.6lのDIT搭載モデルを推したいのか、2つ理由を書いて終わりにしましょう。
なんと1.6lのDITはレギュラーガソリン対応(2.0lのDITはハイオクのみ)。
そして、どちらのモデルも内装が共用なんです!
増税とともにガソリンは随分高級品になっちゃいましたから、レギュラー対応でエコノミーでも、ショボく見えない1.6l。ね、いいでしょ!
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