自動車ジャーナリストの今井優杏さんが、独自の切り口で最新のエコカーや搭載技術を紹介する本連載。今回は、クルマや歩行者だけでなく、自転車との衝突も回避できる、ボルボの「サイクリスト検知機能」とスバルの「アイサイト」を取り上げる。
いつまでも暑いでしかし〜、とゆだっていたあの日が懐かしいくらい、気付けばスッキリ秋空ですね! 心洗われるくらい空高く、奇妙に肌に張り付いていた湿気はなりをひそめ、こうなると朝が来るたびに「ああどこか出掛けたい!」と行楽意欲がふつふつ……。
そう、実りの秋・食欲の秋! 行楽ど真ん中シーズン、愛車でのドライブに最高の季節ですね。
ちなみに弩級のワタクシゴトですが、秋はイベントもモータースポーツも新車業界もまさに花盛りのハイシーズンを超えてトップシーズン、毎年記憶があやふやになっちゃうくらいの繁忙期を迎えます。行楽どころか土日も関係なく、師走よりも東奔西走するのが習わしです。
こうなってくるとちょっと恨めしい行楽シーズン。いえなにも「人が働いてんのにオマエらは遊びやがってコンチクショウ」なんて口汚くののしる気持ちは毛頭ないんですってば。問題は、普段起こらないようなところで土日祝日に事故が頻発してしまうこと、なのです。
そんな中、ボルボ・カー・ジャパンが新たな安全技術「サイクリスト検知機能」を、「XC90」を除く2014年モデルの全てに導入したと先日発表しました。
なんとタイムリーな!! と膝を打った私。
東京中が帰宅難民で溢れた震災の一夜を経て、東京、ひいては日本じゅうで空前の自転車ブーム。渋谷の道玄坂という超一等地に160坪もの規模で自転車屋(と言っちゃイカンか、サイクルショップと言うそうな)がオープンするご時世に「サイクリスト検知機能」とは、素晴らしいタイミングでの導入です(余談ですが、ざっと計算したところ坪単価相場が大体4万5000円のエリアですから、月の賃料にしてななひゃくにじゅうまんえん! それだけ需要があるということなんですねぇ)。
もちろん技術開発はもっともっと以前から行われていますし、欧州ではかつてから自転車はポピュラーな存在ですから、このタイミングでの日本導入は偶発的な追い風。「サイクリスト」とはっきりうたったネーミングもインパクトがありますね。
実は私もロードバイクを所持する自転車乗りです。
自転車乗りは自分が乗るからこそ、自動車と自転車の相いれない関係性に危機感を持っています。だからこそ、きっと日本中のサイクリストのハートを強くつかんだでしょう。
しかし、ここで忘れてはいけない我らがジャパンブランド。
自転車を検知する機能は、あの“ぶつからない技術”でおなじみ、スバルの「アイサイト」にも搭載されているんです。
最近話題の安全運転支援システム。
軽自動車にも衝突回避/被害軽減ブレーキが装着されたりして、雨後のタケノコか! ってくらい突如各社わらわらと出してきている印象です。
しかし、国産車・輸入車を含めて数ある安全技術の中、今のところ「自転車との衝突を回避する」と明言しているのはボルボとスバルの2社だけ。
というわけでその技術を少し掘り下げてみましょうか。
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