ほんの数年前まで、国内市場では売れないといわれてきたディーゼルエンジン車。その認識を変えたのがマツダのクリーンディーゼルエンジン「SKYACTIV-D」だ。今回は、国内のディーゼルエンジン車市場が回復してきた背景とともに、新型「デミオ」とそのエンジンである排気量1.5lのSKYACTIV-Dについて説明しよう。
ここ数年で飛躍的に変わったものは何でしょう。
無料通話アプリの劇的な普及? その前に携帯電話のスマートフォン化? はたまたコンビニで安くて美味しい挽きたてコーヒーが飲めるようになったこと? ……ちょっと考えるだけでもボコボコとあれやこれやが脳裏をかすめます。
もちろん、先進技術がちりばめられる自動車産業も例外ではありません。ちょっと例を挙げれば、電気自動車の一般家庭への急激な普及なんかまさにそう。同時に急速充電器も、家庭用を含め珍しいものではなくなったと感じます。自動ブレーキなどのセーフティ機能も、今や軽自動車にまで搭載される時代。これも雨後のタケノコ的に広がりましたよね(先日(2014年10月23日)、まさにJNCAPのアセスメント評価結果が公開されましたね! これまでメーカーの自主性のみに信頼性を依っていたこの分野で、何をもって予防安全とするのか、1つの指針となる大きな進歩だと感じました)。
しかし私個人としてはそれらのアレコレより温故知新とはこれいかに、既存のモノでありながらもいきなりクリーンキャラにイメチェンを図り、グイっと伸びを見せたディーゼルエンジンの快進撃の行方が気になって仕方ありません。
ちょっと前まで、それこそ私が自動車ジャーナリズムの門戸をたたいた2006年はまだ、日本においてディーゼルエンジンに対する世間の一般的な視線は冷たかったのです。
石原前都知事がペットボトルにススを入れて振ってみせた1999年以降、日本は当時『臭い、汚い、うるさい』と認識されていた前時代風のディーゼルエンジンを毛嫌いし、輸入ディーゼルエンジンをシャットダウンする、いわゆる「ディーゼル鎖国」の時代に突入しました。
2006年は「メルセデス・ベンツ E320 CDI」が、当時の欧州の排出ガス規制であるユーロ4に適合し、さらに当時の日本の新長期法と自動車NOx(窒素酸化物=光化学スモッグの原因となる大気中の酸性化物質)・PM(粒子状物質=発がん性物質を含む)法もクリア。長きにわたる鎖国を切り開き、文字通り黒船となった年です。
しかしそこから規制値はさらにギュウギュウに締め付けを増し、今や欧州規制は当時のユーロ4からユーロ6までレベルを上げました。
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