ここで、ようやく本題(笑)。
マツダは、Bセグメントと呼ばれるカテゴリーに属するコンパクトカー「デミオ」に、このSKYACTIV-Dを搭載した新モデルを発表しました。後処理装置を搭載する必要のないSKYACTIV-Dだからこそ、限られたスペースしかないコンパクトカーをディーゼル化できたのです。
しかも今回は、従来のマツダ車に採用されていた排気量2.2l(リットル)のディーゼルエンジンよりエコノミーでエコロジーな排気量1.5l。
しかしコレ、単にダウンサイジングしました〜! なんて簡単なモンじゃなかったんですって!
そもそもSKYACTIV-Dの2つのエンジンラインナップ、2.2lと1.5lは、双方とも同排気量のディーゼルエンジンの中で世界一の低圧縮比を実現しています。従来のディーゼルエンジンにおいて、高い圧縮比に由来する部分的な不完全燃焼から生まれるススやNOxの発生が少なく、燃焼タイミングをピストン上死点に近づけることで燃費に優れたエンジンに仕上がっています。
その上で、排気量1.5lのSKYACTIV-Dは、さらに小型車ならではの俊敏さをアピールすべく、欧州メーカーの同じBセグメント車にも勝る「排気量2.5lのガソリンエンジンと同等」という驚異のトルクを持つとともに、それと相反するクラス最高レベルの燃費を出してきました。
エンジンが小さくなれば、機能にもそれぞれ影響が出ます。SKYACTIV-Dの1.5lは、圧縮比が2.2lよりも0.8高い14.8になっています。これは燃焼室が近い=熱源が近いためにライナー壁から熱を奪われるため。
他にも2.2lで採用されているエッグシェイプ型燃焼室はそのまま採用しつつ、2.2lよりも狭い燃焼室に広角に燃料を噴射するため短噴孔の高分散噴霧ノズルを採用しました。
さらに、ピストンの頂面に約1mmの段差(!)を設けるという工夫も行っています。これによって、圧縮の上死点から下降し始める際にピストンの頂面外周部とヘッドのすき間(スキッシュエリア)が急激に容積拡張するために熱エネルギーが燃焼室からこのスキッシュエリアに引き込まれ、外壁に逃げるのを抑制しています。
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