ダッソーは、2014年の事業方針説明会を開催。12の産業別提案、12の地域別提案、3つのチャネル政策を組み合わせた成長を進め、2016年に日本での売上高500億円以上を目指す方針を示した。また同社が注力する3Dエクスペリエンス・プラットフォームにソーシャル・コラボレーション機能を加えることも発表している。
仏Dassault Systemesの日本法人ダッソー・システムズ(以下、ダッソー)は2014年2月28日、2013年の事業報告とともに、2014年の事業方針を発表。「インダストリー戦略」として掲げる12の産業別提案と共に、2014年は「Geo戦略」として地域特性に応じた提案を強化し、2016年には日本だけで売上高500億円以上を目指す方針を示した。
2013年の全世界でのDassault Systemesの取り組みについて、ダッソー(日本)代表取締役社長 鍛治屋清二氏は「新規顧客数1万9000社、新規パートナー525社を獲得した他、12社の買収を行うなど、順調に成長してきた」と話す。これらの中で、2014年は新たに「Geo戦略」を推進していくという。
Geo戦略とは、グローバルの各地域を12のセグメント(Geo)に分け、そのセグメントに最適な提案活動を進めていく戦略だ。例えば、欧州は5つのGeoに分けられている他、アジアでは「日本」「中国」「韓国」などは単独のGeoとなっている。ASEAN地域はまとめて1つのGeoだという。
同社では、2009年からマルチチャンネル戦略として3つのチャネルに向けた事業展開を推進。主に大手企業のエンタープライズソリューションを担当する「ビジネストランスフォーメーション事業部」、中堅企業の「3DSバリューソリューション事業部」、SolidWorks製品をメインで取り扱う「プロフェッショナルチャネル事業部」の3つのチャネルに合わせた展開を進めてきた。
しかしこれらの事業展開を推し進めたことで「実質的に事業部ごとのバラバラの提案が中心になってしまい、産業や地域などのシナジーが取りにくい状況になっていた」(鍛治屋氏)。
そのため、2011年には12の産業別提案を進める「インダストリー戦略」を展開。12の産業とは「航空宇宙・防衛産業」「自動車・輸送機械業界」「天然資源産業」「船舶・海洋業界」「医療機器・医薬品業界」「産業機械業界」「ハイテク業界」「金融・ビジネスサービス業界」「エネルギー・プロセス産業」「パッケージ製品・小売業」「消費財・小売業」「建設・建築業界」だ。ちなみに日本では「金融・ビジネスサービス業界」はまだ取り組まないので11の産業別展開となっている(関連記事:ダッソー、自動車や産業機器業界などに特化したパッケージを提供)。
今回新たにGeo戦略として、地域ごとの提案への権限が強まることで、それぞれの事業にこだわらず相乗効果を生み出せるようになるという。鍛治屋氏は「今までは縦割りの面が強かったが、顧客の立場で利便性が高いように整理できた。例えばダッソーでは自動車や航空系などが強いが、電機系はそれほどではない。逆にSolidWorksは電機・ハイテクは強いが自動車への浸透はそれほどではなく、それぞれの強みを組み合わせることで伸ばしていける」と語る。これらの取り組みにより2013年は390億円だった日本の売上高を2016年には500億円以上に成長させるという。
また2014年の戦略として「ソーシャル」への取り組みを強化する方針。モバイルアプリの充実などの他、クラウドなどオンラインサービスの強化を進める。また、同社が「3Dエクスペリエンス」と呼んで展開を進めている統合プラットフォームについても、ソーシャルコラボレーション機能の提案を強化するという。
その他、2014年1月にプライベートイベント「SolidWorks World 2014」で発表された「SolidWorks Mechanical Conceptual」を国内にも2014年後半に投入することを明らかにしている。
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