インドの地場大手自動車メーカーであるTata Motors(タタ・モーターズ)は、次世代の車載情報機器をSamsung Electronics(サムスン電子)と共同で開発する方針を明らかにした。
インドの地場大手自動車メーカーであるTata Motors(タタ・モーターズ)は、デリーで開催された「第12回オートエキスポ2014」(2014年2月5〜11日)において、次世代の車載情報機器をSamsung Electronics(サムスン電子)と共同で開発する方針を明らかにした。
タタ・モーターズがインド国内で販売する車両の車載情報機器に、サムスン電子のAndroidベースのスマートフォンやタブレット端末と連携する機能を搭載する。サムスン電子が展開している、Androidデバイスの機能を車載情報機器上で利用するためのアプリ「Drive Link」が技術ベースとなる。海外の報道によれば、タタ・モーターズが2015年内に販売するミッドレンジの価格帯の車両に搭載する計画で開発が進められているという。
なお、Drive Linkは、Androidデバイスと車載情報機器の連携に用いる通信規格「MirroLink」を利用している(関連記事:Androidスマホと連携するディスプレイオーディオ、クラリオンとSamsungが開発)。
サムスン電子は、2014年1月に米国で開催された「2014 International CES」において、BMWが行った自動運転車とウェアラブルデバイスの連携デモに、スマートウォッチ「GALAXY Gear」を提供するなど、自動車メーカーとの関係を深めるための活動を強化している。
車載情報機器とスマートフォンを連携させるための取り組みは、もはや特別なものではない。Appleは2013年6月、「iOS 7」の新機能として、「iPhone」や「iPad」といったiOSデバイスと連携するインダッシュタイプのディスプレイモジュール「iOS in the Car」を発表している(関連記事:Appleがクルマのど真ん中を占拠!? 車載ディスプレイ「iOS in the Car」の衝撃)。対するAndroid陣営も2014年1月に、自動車へのAndroidプラットフォーム搭載の促進を目指す団体「オープン・オートモーティブ・アライアンス(OAA)」を立ち上げた(関連記事:「iOS in the Car」に対応予定のホンダ、車載Androidを促進する新団体にも参加)。
タタ・モーターズが今回の提携を結んだ理由は2つある。1つは、インドのスマートフォン市場の急激な拡大である。米国の調査会社であるCanalysによれば、2013年4〜6月期の時点で、インドは地域別のスマートフォン市場規模で、米国、中国に次いで第3位になったという。フィーチャ―フォンからの買い替えがまだそれほど進んでいないこともあり、今後もスマートフォン市場の拡大は続く見込みだ。タタ・モーターズは、海外の大手自動車メーカーとの販売競争が想定されるミッドレンジ価格帯の車両の購入者層と、スマートフォンの購入者層が重なることから、スマートフォンに対応する新機能によって自社の車両の差異化を図りたい考えだ。
もう1つの理由は、インドのスマートフォン市場でサムスン電子がトップシェアを占めている点だ。インドのスマートフォン市場は、米国や日本とは異なり、ほとんどをAndroidが占める。中でもサムスン電子は、スマートフォン市場全体の約3分の1を確保している。これに対して、AppleのiPhoneは、Microsoftの「Windows Phone」よりも販売台数が少ない。
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