ホンダは2014年2月20日に新型スクータ「ダンク」を発売する。同社の原付1種の新モデルは、2002年7月発売の「トゥデイ」以来、約12年ぶり。主要ユーザーの若年層を想定して開発したダンクの投入により、2003年比で半減した国内原付1種市場を活性化できるのか注目される。
ホンダは2014年2月3日、新型スクータ「ダンク」を発表した。同社の第1種原動機付き自転車(以下、原付1種)の新モデルは、2002年7月発売の「トゥデイ」以来、約12年ぶりとなる。主要ユーザーとして想定する学生などの若年層を想定し、新しいスタイリングのデザインを取り入れた。また、排気量125cc/250ccの二輪車の技術を適用した新開発エンジンを採用して燃費性能や動力性能を大幅に向上している。発売日は同年2月20日で、本体価格は19万9000円(税別)。国内の年間販売目標台数は2万5000台である。
ホンダによれば、排気量50ccエンジンを搭載する原付1種の国内市場規模は、2003年の約54万台から年々減少している。2013年には、約23万9000台と2003年の半分以下になっている。同社は、「若い人たちにこのクラスの有用性や魅力を共感していただくことが、二輪市場の活性化に必要不可欠」として、ダンクを新たに開発した。
主要ユーザーである学生などの若年層がスクータを活用している状況や、スクータに求めるデザインと使い勝手などについて徹底的にリサーチ。開発コンセプトは、気軽に上質な移動を楽しんでもらいたいという思いを込めて「プレミアムスニーカー」に定めた。
従来、スクータのスタイリングは「スピード感の表現」などを重視していた。これに対してダンクでは、「若者たちの感性に自然にリンクするデザイン」(同社)を目指した。日常使っているモノとのバランスが図れるシンプルさに上質な表現を加えることで魅力的なスタイルを追求したという。
この他、若年層の生活に欠かせなくなっているスマートフォンを充電できるアクセサリーソケットをグローブボックスに装備。さらに、時刻を確認できる時計表示をスピードメーターに組み込むなど、日常の使い勝手も追求している。
ダンクは、次世代スクータ用グローバルエンジンとして開発した水冷/OHC方式の単気筒50ccエンジンを新たに採用した。二輪車用の排気量125ccと250ccのエンジンに用いている「eSP(enhanced Smart Power)技術」を適用している。具体的には、eSP技術の1つである、セルモーターと発電機能を兼ね備えた「電子制御式ACGスターター」の採用により、セルモーターや始動系ギアの分だけエンジンが軽量化されている。また、冷却効率の高いラジエータをエンジン右ケース外側に一体化することでコンパクトなビルトイン水冷システムを採用した。トゥデイの空冷/OHC方式の単気筒50ccエンジンと比べると、11%の軽量化を実現できているという。
軽量化の他にも、エンジン各部の摩擦損失の低減や、アイドルストップシステムの標準装備などにより燃料向上を図った。ダンクの燃費性能は時速30kmの定地走行テスト値で75.3km/l(リットル)、2013年7月から採用された二輪車のカタログ燃費であるWMTCモードで56.6km/lを達成している。トゥデイと比較すると、時速30kmの定地走行テスト値では3%程度しか向上していないが、実燃費により近いWMTCモードでは約10%向上しているという。
新開発エンジンは燃費性能だけでなく、動力性能も向上している。ダンクの最高出力は3.3kW(8000rpm)、最大トルクは4.1Nm(7500rpm)。トゥデイの最高出力2.8kW(8250rpm)、最大トルク3.7Nm(7000rpm)と比べて、10%以上の性能向上を果たしている。エンジン回転数全域で出力やトルクを比較した場合でも、ダンクがトゥデイを大きく上回った。
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