トヨタ自動車は2014年3月期第2四半期決算を発表。為替の好影響や収益構造改革の成果などにより、上半期過去最高益を達成した。
トヨタ自動車(以下、トヨタ)は2013年11月6日、2014年3月期第2四半期(2013年4〜9月)の決算を発表。“アベノミクス”による為替の好影響や収益構造改革の成果などにより、上半期の実績として過去最高の当期純利益を達成。売上高や営業利益も過去最高だった2008年3月期に迫る結果を残した。今回の結果を受けて同社は通期の業績予想を上方修正しており、営業利益は6年ぶりに2兆円を突破する見込みだ。
トヨタの2014年3月期第2四半期(2013年4〜9月累計)決算は、売上高が前年同期比14.9%増の12兆5374億円、営業利益が同81.0%増の1兆2554億円、当期純利益が同82.5%増の1兆6億円となった。連結販売台数は、エコカー補助金が終了した日本の他、欧州やタイなどで販売が減少し、前年同期に対して微減となる246万8000台となったが、国内市場で「クラウン」などの高級車が好調を維持。また北米や中東、中南米市場などで販売台数を増やし、大幅な利益伸長を実現した。
トヨタ取締役副社長の小平信因氏は今回の好業績について「最も大きい要因は円高による為替変動だ。しかし、それ以前の問題として、サプライヤーや販売店と一体になって取り組んできた原価低減活動や、営業活動の工夫など、地道に積み重ねてきた結果が今回につながっている」と強調する。
トヨタの過去最高決算はリーマンショック前の2008年3月期だ。同決算では売上高26兆2892億円、営業利益2兆2703億円、当期純利益が1兆7178億円という結果だった。2014年3月期の通期決算見通しは、今回上方修正したことにより、売上高25兆円(前回予想比1兆円増)、営業利益2兆2000億円(同2600億円増)、当期純利益1兆6700億円(同1900億円増)となり、過去最高の目前まで迫ることになる。
しかし「当時と現在では収益構造が全く異なる」と小平氏は語る。
第2四半期累計期間(4〜9月)の結果を比較するとその違いが鮮明に見えてくる。2008年3月期第2四半期累計(2007年4〜9月)の為替レートはドルが119円、ユーロが162円。2014年3月期第2四半期累計がドル99円、ユーロ130円であることを考えると、ドルで20円、ユーロで32円の円高ということになる。これを営業損益への影響度に変換すると約5300億円の減益要因になる。この他、販売規模の拡大による営業関連費用なども増えており、2008年3月期と2014年3月期では、約6800億円も原価が違うというのだ。
小平氏は「設計・開発から、製品発売後の部品の共通化、工場の生産性など多岐に渡る分野で、地道に1年1年収益構造の改善に取り組んできた成果が7年間で6800億円という規模になった。この積み重ねが過去最高を目前とする状況まで導いた最大の要因だ」と強調した。
今後に向けてもさらなる収益構造改善を進める姿勢に変化はない。ただ「固定費を抑え、台当たり粗利の改善を進める方針に変わりはないが、将来の技術を磨く“攻めの投資”は進めていく。『Toyota New Global Architecture(TNGA)』など必要な投資は大胆に進めたい」と話している。
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