川崎重工が富士通と共同開発を進めてきた、航空機の「次世代設計部品表統合システム」が完成し、本稼働を開始した。
川崎重工業(以下、川崎重工)航空宇宙カンパニーは、富士通と共同で開発してきた、航空機における設計・部品データを管理する「次世代設計部品表統合システム」の構築を完了し本稼働を開始した。
両社は2011年5月に同システムの構築に着手したことを発表(関連記事:川崎重工、航空機の部品構成を一元管理へ)していたが、2年を掛けてシステム構築を推進。川崎重工は従来複数のシステムで設計・部品データを管理していたが、富士通のPDMソリューション「PLEMIA」をベースに構築した新システムに統合した。
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航空機の部品点数は100万点以上あり、かつ、30年以上の長期にわたり号機ごとに部品情報を追跡・管理する必要があるなど、部品管理の難易度が非常に高い。2013年8月22日には、国産ジェットとして期待を集める三菱航空機の小型ジェット機「MRJ」が、部品の調達に難航したため、納入スケジュールを延期するなど、システム基盤の重要性に注目が集まっている(関連記事:飛行機を作るには何が必要? なぜクラウドなのか)。
新システムは、PLEMIAをベースに、航空機業界特有の部品管理方式である「構造有効期限方式」および「REV有効期限方式」に対応するため、約150機能を追加開発した。全ての航空機を1号機単位で部品構成を管理することができる他、共同で設計を進める部品メーカーやパートナーとの部品情報の共有を安全に行える仕組みも構築し、製造情報の配布コストの削減を実現したという。
川崎重工では従来、設計情報を機種ごとに異なるシステムで管理していたため、データが分散しており、設計情報の共有化や既存データの利用効率という面で課題があった。新システムにより、業務の効率化や、設計品質および設計スピードの向上を目指すとしている。
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