スリーディー・システムズ・ジャパンは、本社移転とともに、3D Systems製品を展示するショールームを開設。同社が2013年6月に買収した仏Phenix Systemsの金属粉末焼結積層の技術についても紹介した。
2013年8月8日、3次元データ関連ツールベンダーの米3D Systemsの日本法人であるスリーディー・システムズ・ジャパンは、多岐にわたる同社製品をまとめて展示するショールームの内覧会を開催した。
同社は同年8月1日より恵比寿ガーデンプレイスタワー27階に移転し、これまで製品によって分かれていた拠点を1つにまとめた。その新オフィスの中にショールームをオープン。工業向け3Dプリンタを展示するエリア、3Dスキャンやソフトウェア、個人向け3Dプリンタなどを展示するエリア、セミナールームを備える。同社製品の代理店もセミナーや製品説明などで利用できるスペースとしている。
現在の同社は、以下の全7方式の3Dプリンタを持っている。同社ショールームでは以下製品を展示していく予定だ。
【ハイエンド機種・工業向け】
【廉価機種・個人向け】
「SLM(Selective Laser Melting)」による金属粉末焼結積層は、2013年6月12日に米3D Systemsが買収を発表した金属積層造形機メーカーの仏Phenix Systemsの技術だ。
米3D Systems シニアバイスプレジデント プロダクションシステムジェネラルマネージャー兼スリーディー・システムズ・ジャパン 代表取締役社長のケビン・マカレー氏は、3Dプリンタ(3次元積層造形)の造形物は従来のような試作品だけではなく、カスタム品など単品〜少数の最終製品での活用事例が出ていることを紹介。「身体の個人差によるカスタムが不可欠である医療分野では3Dプリンタの活用は有効。個人の耳の形状にフィットする補聴器、インレー(歯の詰め物)などで活用されている。近年は民間航空機や自動車など、人命を預かる輸送分野の部品においても、そのような活用事例が見られる」(マカレー氏)。
ここでは、金属積層造形によるタイヤのトレッドの金型、手指の補正器具の事例などがマカレー氏により紹介された。金属積層造形が同社ラインアップに加わることで、さらにそういった事例が増えていくだろうと同社は見ている。
この内覧会では3Dプリンタ以外のソフトウェア系の3D Systems製品の今後についても明かされた。
同社は、3次元CAD「Alibre」、3Dスキャナ「Rapidform」、クレイモデラー「SensAble」(FREEFORMやPHANTOM)のソフトウェア系ブランドを、検査・リバースエンジニアリング製品ブランド「Geomagic」に統一して提供していくという。
また米3D Systemsは2013年8月6日、クラウドベースのデータシェアツールを開発するTeamPlatform社を買収したと発表している。今後、同社のGeomagic製品やCubify.comに直ちに統合する計画だ。Cubify.comで扱ってきたような電子商取引分野も強化していくという。
今回、内覧会のゲストスピーカーと招かれた芝浦工業大学 デザイン工学部 デザイン工学科 生産システムデザイン分野教授 安齋正博氏、東京大学 生産技術研究所 機械・生体系部門教授 新野俊樹氏は、「従来の加工法では難しかった形状、思った通りの形状が作れる」といった3Dプリンタの利点について述べるとともに、ここのところのブームの過熱に対し「3Dプリンタは20年ぐらい前からある既存技術。自分たちは従来通り『アディティブマニュファクチャリング(AM)』と呼んでいる」「3Dプリンタは、3次元データがなければただの箱」「利点と併せて、“できないこと”も理解するべき」と冷静に意見した。
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