今回の目標引き下げは、中核と据える3事業における構造的な問題点をあぶりだしている。
デジタルイメージング事業では、イメージセンサーや業務用映像領域では圧倒的な強さを発揮しているものの、従来売上高を支えてきたコンパクトデジタルカメラ市場はスマートフォンなどの影響で縮小傾向にある。ゲーム事業では、スマートフォンやタブレットのアプリによるライトゲーム市場が広がり、ゲーム専用コンソールの存在感が低下。またモバイル事業においては、米Apple、韓国サムスン電子が2強としての地位を確立し、そう簡単には逆転が難しい状況だ。
これらの市場構造において勝ち残り、中期目標を達成するには、既存路線の延長戦上では厳しく、他を圧倒する商品やサービスが必要になってくる。平井氏は「既存の価値観の延長戦ではない。変わることができなければ成長もできない」と強調する。
さらに、平井氏は「世界に先駆けた新しい製品やサービスを生み出す姿勢は全く変わるものではない。エレクトロニクスに未来はある。ソニーはその中で存在感を示す」と力強く語った。既に感性価値のある商品を生み出す本社直轄組織なども設置し開発を進めているという。
これらの体制が実際に魅力のある商品開発につながるのか――。原点に返るようなものだが、本当に感性価値のある商品を生み出すことができるか、にソニーの復活は掛かっている。
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