2015年3月期の目標達成、および持続的成長の回復に向けて、鍵を握るのはやはり重点3事業と位置付ける、モバイル(スマートフォン、タブレットなど)、イメージング関連(デジタルカメラ、イメージセンサーなど)、ゲームの3事業だ。2014年3月期もこの3事業に向けては積極的な投資を進める方針を示す。
モバイル事業については、2012年2月にソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズの100%子会社化を実現し、2012年10月には本社機能の集約や機能の明確化を実施するなど、ソニーとの一体化を進めてきた。さらにSCM(サプライチェーンマネジメント)の効率化なども実施し、その成果の1つがXperia Zでもあるという。2014年3月期についても、サプライチェーンなどのオペレーション改革を引き続き進めるとともに、商品化スピードの加速やソニーの他部門との連携を強化し商品価値につなげていく方針だ。
「Xperia Zは設計リードタイムを大幅に短縮することに成功した。市場にタイムリーな商品を供給できる体制を築き、スマートフォン市場で確固たるポジションを確保していく」(平井氏)
イメージング事業は、好調な裏面照射型CMOSイメージセンサーや積層型CMOSイメージセンサーなどを中心に積極的な量産設備投資を推進。2014年3月期の設備投資は前期並みの1800億円としているが、その多くをイメージセンサーに費やす方針を示している。さらに既存センサーに加えて、使用用途の拡大や新たなセンサー技術の事業化に投資を進めていく方針だ。平井氏は「可視光領域を超えたセンシングや、距離、動き、色などを識別するセンシングなど、新たな領域への技術開発を進めていく」と話す。
ゲーム事業については、家庭用ゲーム機PS(プレイステーション)3によるハード、ソフトの売り上げと利益の維持を務めるとともに2013年末に投入するPS4によるビジネス拡大を推進。ネットワーク経由でのソフトやコンテンツ販売などを強化する一方で、新たにブラジルでPS3の製造を開始するなど、生産体制の強化も進めていく方針。現在PS3は生産委託による中国での生産とともに、日本とブラジルの自社工場で生産を行う。
これらの重点3事業における2015年3月期の目標は、モバイル事業が売上高1兆5000億円、営業利益率4%、イメージング関連事業が売上高1兆3000億円、営業利益率10%以上、ゲーム事業が売上高1兆円、営業利益率2%とし、3事業でエレクトロニクス事業全体の売上高の65%、営業利益の80%を創出する方針だ。
しかし、実はこれらのコア3事業の目標数値は、前回発表から引き下げられている。2012年4月に発表された目標では、モバイル事業が売上高1兆8000億円、デジタルイメージング事業が売上高1兆5000億円、ゲーム事業が営業利益率8%と、今回のものよりも高い目標が設定されていた。
平井氏はビジネス環境変化の影響を要因に挙げる。「ゲーム事業におけるPS Vitaの立ち上げが想定を下回った点、PS4導入における投資などにより、全体のバランスを見直した。しかし、テレビ事業の黒字化などにより、エレクトロニクス事業全体の目標は変更しない」と話した。
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