ユニプレスと新日鐵住金は、ホットプレス加工の冷却時間を大幅に短縮できる直水冷方式を実用化した。生産性は従来の間接的な冷却方式の3倍に達する。新方式を用いたホットプレス加工は、日産自動車向け車体構造部品の量産に適用されている。
ユニプレスと新日鐵住金は2013年5月20日、鋼板を高温に加熱して成形するホットプレス加工において、冷却時間を大幅に短縮できる直水冷方式を実用化したと発表した。生産性は従来の間接的な冷却方式の3倍に達するという。新方式を用いたホットプレス加工は、日産自動車向け車体構造部品の量産に適用されている。
自動車を軽量化するためには、より高強度の鋼板を使って車体構造部品を製造する必要がある。鋼板のプレス成形手法には、300℃程度までの温度で行う冷間プレス加工と、900℃近くまで加熱して鋼板を軟質化させてから成形し、その後で冷却するホットプレス加工がある。ホットプレス加工を使えば、冷間プレス加工よりも高強度の鋼板を使って車体構造部品が製造できるものの、冷却に掛かる時間だけ生産性が低下するという課題があった。
ユニプレスと新日鐵住金が開発した直水冷方式は、特殊加工した金型表面から冷却水を吐出し、金型表面と加工した鋼板の間に冷却水を通すことで直接冷却できるので、冷却時間を大幅に短縮できる。従来のホットプレス加工では、金型内部に冷却水を流して、鋼板を間接的に冷却していた。直水冷方式の生産性は、従来方式の約3倍である。
直水冷方式は新日鐵住金が開発した技術がベースになっている。実用化と量産化については、新日鐵住金とユニプレスの子会社であるユニプレス技術研究所が共同で取り組んだ。量産化の際には、直水冷による品質(部品精度)のバラツキ発生が課題となったものの、ユニプレスの金型技術や、両社で共同開発した給排水経路および水量のコントロールの適正化によって、従来方式と同等の品質、強度を実現できたという。
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