新日鐵住金は、同社が開発した1.2GPa級の強度を持つ合金化溶融亜鉛めっき高張力鋼板(1.2GPaめっきハイテン)が、スズキのスーパーハイトワゴンタイプの軽自動車「スペーシア」に採用されたと発表した。同車の29.0km/lというJC08モード燃費を実現するのに必要だった軽量化に大きく貢献している。
新日鐵住金は2013年4月24日、同社が開発した1.2GPa級の強度を持つ合金化溶融亜鉛めっき高張力鋼板(1.2GPaめっきハイテン)が、スズキのスーパーハイトワゴンタイプの軽自動車「スペーシア」(関連記事:スズキの「スペーシア」は「N BOX」より110kg軽い、「タント」とも比較)に採用されたと発表した。具体的には、運転席や助手席の足元付近の車体下部に配置される、主要骨格部品の1つであるフロアサイドメンバーに用いられたという。国内自動車メーカーが1.2GPaめっきハイテンを採用するのはこれが初の事例となる。
合金化溶融亜鉛めっき鋼板とは、防さび効果のある亜鉛を鋼板の表面に溶融めっきした後に、再加熱して合金化した鋼板のことである。車体下部に配置されるフロアサイドメンバーのように、防さび加工が必要な骨格部品などに用いられている。溶融めっきプロセスが加わるため鋼材特性の作り込みが難しく、高い強度を実現しにくいという課題があった。新日鐵住金は、冷間圧延で製造する冷延鋼板については、1.2GPa級の強度を持つ鋼板を供給できているものの、合金化溶融亜鉛めっき鋼板の強度の上限は980MPaにとどまっていた。
今回スペーシアに採用された1.2GPaめっきハイテンは、強度と成形性を両立させる最適な微細金属組織を、めっきプロセスを考慮した成分設計と製造プロセスの高度化によって実現した。
スペーシアは、車両重量を840kgまで低減することによって、スーパーハイトワゴンタイプの軽自動車のJC08モード燃費でトップとなる29.0km/l(リットル)を達成している。この軽量化に最も貢献したのが、ボディの42%に採用した、1.2GPaめっきハイテンをはじめとする高張力鋼板だった。
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