ここまで挙げた、マクラーレン・ホンダに代表されるホンダの第2期F1活動、2014年からのF1で使用されるV型6気筒エンジン、ERSと関係の深いハイブリッドシステム、ホンダのF1復帰時期に当たる2015年という4つの項目から浮かび上がる1台の車両がある。ホンダのスポーツカー「NSX」である。
NSXが発売されたのは1990年。マクラーレン・ホンダがF1で圧倒的な強さ見せつける中、同様に高い走行性能を誇るホンダの2シータースポーツカーとして開発された。2005年末に生産終了したものの、根強い人気もあって復活を期待する声は多かった。
これらの声に応えて、2012年1月の「北米国際自動車ショー」で、ハイブリッドシステムを採用した「NSXコンセプト」がついに発表された。2013年1月の同ショーでも、さらに進化したエクステリアデザインを発表している。
新型NSXは、軽量のボディに次世代の直噴V型6気筒エンジンを初代NSXと同様にミッドシップレイアウトで配置し、北米の高級車ブランド「Acura」の「RLXハイブリッドタイプ」で初採用したモーターを3個使用するハイブリッドシステム「Sport Hybrid SH-AWD」を組み合わせる。前輪の左右を独立した2個のモーターで、後輪はデュアルクラッチトランスミッションで接続したV型6気筒エンジンとモーターで駆動する。
そして、F1復帰の前日に当たる2013年5月15日には、この新型NSXの生産工場を米国オハイオ州に建設し、2015年から量産を始めることも明らかにした。
つまり、ホンダがF1に復帰する2015年に発売する、かつてのマクラーレン・ホンダ時代をほうふつとさせる新型NSXは、2014年以降のF1で採用されるのと同じエンジンタイプであるV型6気筒エンジンや、ERSと同様の技術が活用されるハイブリッドシステムを搭載しているというわけだ。
もちろん、F1復帰が2015年である以上、2015年発売の新型NSXに搭載されるV型6気筒エンジンはF1のようにダウンサイジング過給を適用していない可能性が高い。ハイブリッドシステムのSport Hybrid SH-AWDも、F1のERSとは得られる効果が大きく異なる。
しかし2015年のF1復帰と新型NSXの投入が、ホンダのスポーツカー分野における事業活動の両輪になることは確実だろう。
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