NEDOが一斉公開した災害対応ロボットの中でもひときわ大きな、三菱重工業の高所作業用遠隔作業ロボット「MHI-Super Giraffe(スーパージラフ)」。4トンもの重量を連続5時間稼働させられるように、電気自動車「i-MiEV」の大容量リチウムイオン電池システムをカスタマイズして搭載している。
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が2013年2月20日、一斉公開した災害対応ロボット(関連記事)。その中に、ひときわ大きな、はしご車のようなロボットがある。これは、三菱重工業が開発した、高さ8mまでの高所作業が可能な遠隔作業ロボット「MHI-Super Giraffe(スーパージラフ)」である。
スーパージラフは、NEDOの「災害対応無人化システム研究開発プロジェクト」の基、東京電力の福島第一原子力発電所での作業を想定して開発された。バルブの開閉や除染、漏えい箇所の検出と特定、切断といった動作を、伸縮はしごの先に搭載したロボットアームと先端工具を使って行える。
外形寸法が長さ2350×幅800×高さ2000mm、重量が4トンと、他の災害対応ロボットよりもはるかに大きいスーパージラフ。このスーパージラフは、無線LAN経由での遠隔操作が可能だが、これだけ大きなものを電源ケーブルなしで長時間動作させるには、大容量の二次電池が必要になる。もちろん、災害対応ロボットにふさわしい高い信頼性も求められる。
そこでスーパージラフは、三菱自動車の電気自動車「i-MiEV」の車載リチウムイオン電池システムをカスタマイズして搭載。8mの高所に対するロボットアームと先端工具を使った作業を含めた想定動作で、連続5時間の稼働を実現した。また、重量が4トンあるにもかかわらず、傾斜15度の坂面走行や、平地での時速6kmの走行も可能である。
i-MiEVには、リチウムエナジー ジャパン製のリチウムイオン電池を用いる容量16kWhの「Gグレード」と、東芝のリチウムイオン電池「SCiB」を搭載する容量10.5kWhの「Mグレード」がある。スーパージラフは、Gグレードの車載リチウムイオン電池システムのレイアウトを変更して、台車モジュールの下部に搭載している。
充電器とDC-DCコンバータのユニットも、i-MiEVのものを用いている。ただし、同ユニットの冷却は、i-MiEVのウォーターポンプと、三菱重工業が独自に設計したラジエータと冷却ファンを組み合わせて行っている。充電時間は、200V電源で約7時間。なお、急速充電への対応については、専用の電池冷却システムが必要になるため見送ったという。
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