国立情報学研究所は、通話・SMS・Gmailの受発信情報を収集し、やりとりの頻度、関係の強さなどの視点からユーザーの“人間関係”を可視化するAndroidアプリ「人間関係向上計画」をGoogle Play上で無償公開した。収集データは学術研究目的のみに使用される。
国立情報学研究所は、通話・SMS(ショートメッセージ)・Gmail(オプション選択)の受発信情報を収集し、やりとりの頻度、関係の強さといった視点からユーザーの“人間関係”を可視化するAndroidアプリ「人間関係向上計画」を開発。2012年4月8日からGoogle Play(旧:Android Market)上で無償公開している。対応バージョンは、Android 2.0以上だ。
同アプリケーションは、社会科学における社会関係資本論(注)をベースに、情報通信技術を活用して豊かな人間関係と活力ある社会を実現することを目的とした、学術研究用アプリケーションである。この研究は、日米を中心とした国際比較研究の一部であり、今回のアプリケーションの公開により、日本で2000人の利用を目指すとしている。なお、この取り組みは、コンピュータなどの情報機器だけでなく、現実社会のありとあらゆるモノをWeb空間に投影し、Web空間から現実社会を制御する研究などを行う、新領域融合研究センターの新領域融合プロジェクト「人間・社会システム」(参考情報)の一環として実施されたものだという。
注:社会関係資本論とは、人々のつながりや信頼、助け合いの規範などが、経済発展や民主主義社会の円滑な運営を促すプロセスについての理論のこと。
同アプリケーションにより取得された情報は、純粋な学術研究目的のみに使用され、外部に提供されたり、研究以外の目的に使用されたりすることはない。また、取得される通話・SMS・Gmailの受発信情報は、全て不可逆な暗号化処理が行われる。そのため、ユーザーおよびユーザーのコミュニケーション相手の電話番号やメールアドレスが特定される心配はなく、その内容や本文も一切記録されないとしている。
同アプリケーションでは、収集したデータを用いて、ユーザーの人間関係をさまざまな角度から可視化することができる。
例えば、絆の強さを色や距離で表現したり、過去から現在までの人間関係の絆・距離の変遷をアニメーション表示したり、あるいは、電話帳に登録されている相手との連絡頻度の変遷をグラフで閲覧したりできる。また、スマートフォン上での短いアンケートに回答すれば、研究成果のフィードバックや、自分以外のユーザーの回答傾向と自分の回答の比較を閲覧できる。
以下に同アプリケーションの画面イメージを示す。
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