EVにとってガソリンスタンドの働きをするのが急速充電器だ。だが、急速充電器の導入には数百万円のコストが掛かる。コスト回収のめどが立たなければ、設置台数は伸びないだろう。トヨタ自動車、ホンダ、三菱自動車が、日産自動車に続いて充電器普及を目指す団体を設立した。
EVの普及を支えるのは充電インフラだと考える企業は多い。自宅で夜間などに行う普通充電にせよ、出先で行う急速充電にせよ、ガソリンスタンドのように幅広く普及しなければ、EVの普及ペースが高くなることはないだろう。
普通充電器はEVを購入したユーザーが自宅に設置できる。機材の価格は10〜20万円程度だ。ところが急速充電器はそうはいかない。機材の価格だけでも100万円程度であり、電源の契約や電気工事を含めると、さらにコストが掛かる(関連記事:急速充電器の低価格化でEVの普及拡大、日産が半額以下へ)。
このため、2011年10月現在、急速充電器の設置数は約800基と少ない*1)。
*1) 全国石油協会によれば、ガソリンスタンドの店舗数は2010年現在で3万8777である。うち、東京都は1439、大阪府は1247。
そこで、複数のメーカーグループが急速充電器の普及団体を立ち上げ始めた。日産自動車のグループと、トヨタ自動車、ホンダ、三菱自動車のグループだ。
最初に動いたのは、日産自動車だ。2011年11月9日、EV向け充電サービス事業会社「ジャパンチャージネットワーク」を2011年内に立ち上げることを発表している。日産自動車の他、NECと住友商事、昭和シェル石油が参加し、充電インフラサービスの開発と提供を予定する。まず、神奈川県と東京都の一部地域から始める。
ジャパンチャージネットワークの事業内容は、次の通り。EVやプラグインハイブリッド車(PHEV)の普通充電と急速充電(CHAdeMO対応)を対象にして、以下のようなサービスを提供する。当初はFeliCa技術を使ってサービスを開始し、普通充電から始める予定だ。
*2) 複数のEV充電器の会員認証、課金管理、通信機能を一括で実現する装置。NECが開発した充電コントローラーをベースに共同開発している。
なお、日産自動車の方式は、充電コントローラーと充電器の間で専用プロトコルを使っているため、充電器メーカーが参加する場合は、情報の開示を受ける必要がある。
先行する日産自動車はコスト低減が可能な新型充電器を核にした普及策を考えている。トヨタ自動車とホンダ、三菱自動車はどのような普及策を考えているのだろうか。
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