大日本印刷は、ディスプレイの明るさ輝度を下げた場合でも、色のくすみを補正し、美しい映像を表示する、デジタルサイネージ用ディスプレイ色調補正器「FANAT COLOR」を開発し、6月27日より販売を開始する。
大日本印刷(以下、DNP)は2011年6月3日、ディスプレイの明るさ(輝度)を下げた場合でも、色のくすみを補正し、美しい映像を表示する、デジタルサイネージ用ディスプレイ色調補正器「FANAT COLOR(ファナットカラー)」を開発し、6月27日より販売を開始すると発表した。
企業広告や災害時の緊急情報など、さまざまな情報を配信するデジタルサイネージにおいても、現在、電力の供給不足に対応すべく、節電対策が強く求められている。一般的に、ディスプレイ輝度を下げれば、消費電力を抑えることができるが、全体的に画面が暗くなり、映像がくすんでしまう。そのため、緊急性の高い情報を配信する可能性のあるデジタルサイネージにとっては、輝度を下げて(消費電力を抑えて)もきれいな映像表現を実現できる効果的な節電の工夫・技術が求められているという。
DNPは2010年に、印刷物を本物の色に近づけるカラーマッチング技術を応用して、デジタルサイネージのディスプレイの色調を統一し、本物に近い色彩表現を可能にするシステム「色調整ボックス」を開発。今回発表されたFANAT COLORには、この色調整ボックスに、“輝度を下げた際に色のコントラストを強調し、色のくすみを補正する”機能が付加されている。これにより、輝度を下げても、きれいな色調を表現することができるという。
デジタルサイネージの消費電力と輝度の関係は、メーカーや機種によって異なるが、最大輝度で表示時に230Wの電力を消費するタイプのデジタルサイネージの場合、輝度を約70%下げて表示したところ、電力を約100Wに削減でき、色調の改善効果が確認できたとしている(DNPによる調査、周囲の明るさは変わらない場合の改善結果)。
今後、DNPは、デジタルサイネージを利用する企業・団体に向けて販促し、2015年度までにFANAT COLORを約3000台導入するとともに、コンテンツ制作・編集などで約5億円の売り上げを目指すとしている。なお、2011年6月8〜10日の3日間、幕張メッセで開催される「デジタルサイネージジャパン2011」のDNPブースにおいて、FANAT COLORの展示デモが行われる予定だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.