カーエレにおける新しいインターフェイスを目指すカーエレ JAPAN速報

2009年1月28〜30日の3日間、東京ビッグサイトで開催されている、自動車関連の技術を集めた総合展示会「国際カーエレクトロニクス技術展(カーエレ JAPAN)」のレポートとして、今回はタッチパネルやスイッチ、コネクタ、カメラモジュールなどを軸にビジネスを展開しているSMKにカーエレ JAPANの展示について話を伺った。

» 2009年01月29日 00時00分 公開
[千葉大輔,@IT MONOist]

押した感覚が味わえるタッチパネル

 SMKは、オーディオやカーエレクトロニクス、ホームエレクトロニクスなどの分野の製品に向けて、コネクタやカメラモジュール、タッチパネルなどを提供している。今回のカーエレ JAPANでは、カーエレ向けのコネクタや車載用リモコン、カメラモジュール、タッチパネルなど11種類の製品を展示している。中でも注目したいのは2種類のタッチパネルだ。

 1種類目のタッチパネルは、「フォースフィードバックタッチパネル」。パネルのボタンなどをクリックしたときにタッチパネル自体が振動し、ボタンを押したときの感覚を体感させるというもの。一般的な抵抗感圧式タッチパネルと同様に、ITO膜を蒸着したフィルムあるいはガラスを張り合わせ、指やペンでタッチパネルを押すことで、上下のITO膜が接触し、導通。入力を検知すると同時にタッチパネルを振動させる。他社製品と違う点として、パネルを操作したときに、タッチパネルを搭載した製品(カーナビなど)の本体を振動させるのではなく、あくまでもパネル部分だけを振動させるのが特徴に挙げられるという。

SMK 営業本部 カーエレクトロニクス市場本部 ゼネラルマネージャー 原哲雄氏

 携帯電話やコピー機の操作パネル、券売機などさまざまな用途が考えられるが、自動車関連では特にカーナビゲーション(カーナビ)用のタッチパネルとしての利用を考えている。

 「カーナビは特に安全性が重要ですので、できるだけ画面を見ないで操作ができるようにしたいというリクエストは以前からいただいています。そうした課題に応えることができるソリューションだと思っています」とSMK 営業本部 カーエレクトロニクス市場本部 ゼネラルマネージャー 原哲雄氏は話す。

 画面を見ずに操作を行うための工夫とは、例えば、押す位置によって振動の強さや振動する回数といった異なった振動パターンを設定することができる。これによって、画面を見ていなくてもパネルの反応で、自分がどのボタンを押したのかが分かる。

新しいインターフェイスを目指す

 「いまの自動車はカーナビに限らず、エアコンの操作、音楽を聴いたり、DVDやBlu-rayで動画を見たりと操作するボタンがたくさんあります。そうした複数のアプリケーションのボタンをカーナビのディスプレイで制御することで、操作する実際のボタン数を減らすであるとか、見栄えを良くするなどが現在のトレンドとなっています」と原氏。

 1つのコントローラをマルチユースする方法は、ここ最近の展示会の中でもトレンドになっている。そうした動きに加えて、振動タッチパネルのようなデバイスが採用されることで、カーナビだけではなく、モバイルデバイスなどの製品についても新しいインターフェイスとして発展する可能性がある。

 「自動車のスイッチやボタンは、ここ数十年変わっていないですからね。新しいインターフェイスがなかなか登場しないですが、フォースフィードバックタッチパネルは、次代のインターフェイスとして考えています」

フォースフィードバックタッチパネル。指やペンでパネルを押すと振動する。右の写真は13個のボタンそれぞれに異なった振動パターンをセットしてある。「ここでは13種類の振動パターンですが、実際は20種類以上の振動パターンをセットすることができます」と原氏。

デザインに自由度を持たせる曲面タッチパネル

 もう1種類、参考出展として展示するタッチパネルがある。それは「曲面タッチパネル」だ。タッチパネルに使用するシートや素材を工夫することで、曲面を実現している。こちらも抵抗感圧式で、曲面があっても通常と変わらず操作ができるという。主に自動車のダッシュボードでの利用を目指している。

曲面タッチパネル。曲面であっても平面と変わらずに操作でき、1N以上という軽い力でも動作する。

 「自動車内の曲面デザインに合わせてタッチパネルを使うことで、デザイン優先の製品開発をすることができます。現状ではどうしても平面のパネルに合わせてデザインをしなければなりません」(原氏)

 現在の曲率はR300mm以上で、今回展示する曲面タッチパネルの下にある液晶は平面のものを使用している。今後、液晶やLCDなども合わせて曲面化考える必要があり、実際の製品化にはまだしばらく時間がかかるとのこと。

いまや1台複数個の車載カメラ

 カメラモジュールも今後の自動車を考えるときに欠かせない電子部品だ。現在の自動車には、バックカメラはもちろんのこと、フロントカメラも搭載されているケースがある。日産自動車の「アラウンドビュー」や本田技研の「マルチビューカメラシステム」のように、リア、フロント、左右のドアと4つのカメラが搭載されているケースもある。いまや車載カメラは、1台1個ではなく、1台複数個になっている。

 また、単にカメラを使って画像を撮影するだけでなく、車間距離を維持するためのシステムに使われたり、レーンキーピングアシストに使われたりしている。また、「ナイトビュー」のように夜暗い所で、人がいないか検知するために使われることもある。

カメラモジュール。参考出展されている2つのモジュールは190度と132度の画角のもの。ラインアップとしては140度のものもある。1/4インチのCMOSを採用し、縦横16mm、高さ17.2mmのサイズを実現している。解像度は640×480。3ルクス以下の暗いところでも撮影ができるという。

 「さまざまな用途で使われているカメラモジュールについてもかなり力を入れています。自動車はほかの消費財と比べて、耐久性が強く求められます。季節の変化による温度の変化がありますし、場所によっては過酷な状況で使われることもあります。耐振動や耐熱といったところに力を入れています」と原氏。


 自動車は、「止まる」「走る」「曲がる」という基本的な性能を高めることは当然のことながら、安全で快適な運転という付加価値が求められる。そうした安全や快適性に寄与するような、カメラモジュールやタッチパネルといった電子部品にぜひ注目しておきたい。

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