当たらない需要予測とうまく付き合う法:こうすればうまくいく生産計画(2)(3/3 ページ)
では、そもそもどうしたら予測の精度を上げることができるのだろうか? その答えは、ある意味では単純だ。予測→生産の「計画サイクル」を短くすればいいのだ。
気象の予報を考えてみよう。気温は季節変動の最たるものだ。確かに過去の観測値の蓄積はあるが、半年先の予測は難しい。半年先よりは、1カ月先の方が予測しやすいと考えられる。1カ月先より1週間後の予測の方が、さらに確度が高いだろう。同じように、需要の先読みにおいても、誰だって、1カ月先よりも来週のことだったら、より確実に読むことができる。つまり、精度が劇的に上がるのは、月次予測から週次予測へと、予測スパンを短くしたときなのだ。ごく当たり前のことである(図2)。
図2 需要予測の精度と計画サイクル関係
しかし、その「当たり前」を実行するためには、週次予測を受け取って、週次の生産・物流・在庫計画を立て、それを基にスケジューリングを回せる仕組み=週次計画サイクルが出来上がっていなければならない。もし需要予測を週次で回しても、生産計画が月次のままだったら、それはナンセンスというものだ。自動車を運転するのにエンジンの回転数だけ上げて、ギアはローのまま走るようなものだから。
需要予測の精度を向上させたければ、予測ツールの導入だけでは足りない。予測というものは、それが現実に即時につながらない限り、絵に描いた餅(もち)なのだから、予測を実行につなぐための計画系のツールを導入し、業務のプロセスに組み入れる努力が必要なのだ。とはいえ「週次サイクル」と言葉でいうのは簡単だが、単なる予測ツールの導入に比べて、生産計画系の改革の方がはるかに大変な仕事だということは、誰でも分かるだろう。しかしこれこそ、計画機能の確立と強化が在庫削減に結び付く理由なのである(次回へ)。
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