図11のように、抜き勾配が一定の場合には、ドラフトコマンドを使います。しかし、この場合には、パーティングラインを含む面が平面ではないので、エッジを基準に選定します。
図12のように、抜き勾配が一定ではない場合には、ドラフトコマンドではなく、サーフェスコマンドで作成します。
前述のように、境界のカーブを指定し、その間にサーフェスを作成します。
成形部品にアンダーカットがある場合、スライドを追加して形状を作成します。スライド部分の抜き方向は、キャビティとコアのパーティングラインを基準とした抜き方向(垂直方向)と異なります。第1回で説明したように、金型の抜き方向に垂直な平面に断面を作成して押し出すことが基本なので、スライド部分の形状をモデリングする際には、断面を作成する平面の向きを変える必要があることに注意してください。
モデリング手順は以下です。
図14のようなフック形状がコア側にある場合、コア側のアンダーカットをするための押し切り形状が必要になります。
モデリングの手順は以下の流れになります。
フック形状をキャビティ側で抜けるようにするためには、アンダーカットを解消する穴を開け、赤ラインのようなパーティングラインに設定します。
キャビティ側から金型が抜けるように、ドラフトコマンドでは上記のような設定でモデリングを行います。
佐藤 正(さとう ただし)
1971年埼玉県生まれ。1994年大手金型メーカーに入社。主に家電・自動車部品の金型設計に携わる。アメリカ工場における量産金型立ち上げ、顧客の製品設計支援などを経験した後、2003年ウィッツェルに参画。自動車部品・家電製品など多岐にわたる製品のコストダウンや品質改善のために、後工程(金型製作・射出成形)を考慮した3次元設計&モデリングの指導を行う。
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