成形部品で、外形形状ではなく穴形状によって構成されるパーティングラインを「押し切り」と呼び、以下の3つに分類されます。
図5のように、キャビティ面を合わせ面として構成する形状を「キャビティ面押し切り」と呼び、コア面を合わせ面として構成する形状を「コア面押し切り」と呼びます。
また外装部品の場合、そのパーティングラインをキャビティ面に設定すると、体裁面(パーティングライン上)にバリが発生した場合に指で触った感触が悪くなります。さらにバリが増大すると、成形部品で指を切ってしまうようなケガにつながります。体裁面のバリが出ないようにするためにコア面で押し切り面を設定する必要があります。
「中間押し切り」は、肉厚の間に合わせ面(パーティングライン)を設けて、キャビティ、コア両側に穴形状を作成します(図6)。また、キャビティとコアの寸法のバラツキによる段差(キャビティからコアの形状が見える)を回避するため、あらかじめコア側の穴形状を大きく取ります。
第1回で説明したように、成形部品のモデリングには抜き勾配を付けることが必要不可欠ですが、パーティングの種類によっては抜き勾配を付けるためのモデリングの手順が異なります。
図7左図のように、抜き勾配が必要な面(A面)では、どこで断面を切っても角度が一定な面を指します。
図7右図のように、抜き勾配が必要な面(B面)では、断面を切る場所によって角度が異なる面を指します。デザインで稜線が規定されている場合はこれに当たります。
抜き勾配が一定な面を作成する場合には、ドラフトコマンドを使用しますが、抜き勾配が一定でない面を作成する場合、それ以外の方法で形状を作成しなければなりません。
抜き勾配が一定な面は、前述のようにドラフトコマンドを使用して形状を作成していきます。パーティングラインを含む平面を抜き勾配の基準面に指定し、その平面の法線方向に一定角度の抜き勾配が生成されます(図8)。
また第2回で紹介したとおり、キャビティ側をすべてモデリングした後、シェルコマンドで薄肉の形状を完成させる手順が効率的なため、抜き勾配もシェルの前に完成させるようにします(図9)。
サーフェスのコマンドの中には、準備したカーブ(エッジ)を境界線にして、その間に境界面を生成するコマンドがあり、図10のようなサーフェス生成面(ハッチング面)を作成します。
モデリング手順は以下になります。
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