“オームの法則”だけでもかなりの電子回路を理解できたと思います。これまで学んだ知識を次週の【中間考査】にぶつけてください!
前回の宿題【問題9】は、「10mAの電流計で30mAの電流を測定するために、抵抗Rを並列接続しました。その際の抵抗は何Ωですか? (ただし電流計の内部抵抗は5Ωとします)」という問題でした。皆さん解けましたか?
解けた方も解けなかった方も答え合わせをして、次項の解説までぜひ読んでみてください。毎週コツコツ問題を解いて、電気・電子回路の基礎知識を身に付けてください。
それでは、解答を発表します!
続いて、解説に入ります。
回路に流れる電流を測るには、図1(a)のように、測ろうとする部分を開いて電流計を接続します。つまり、電流計に電流を流して、指針を振らせて計測するのです。
このとき電流計の内部抵抗rは、抵抗Rに比べて十分に小さくなければいけません(図2の(b))。電流計の内部抵抗が大きいと、回路に直列接続される電流計の内部抵抗が無視できなくなり、回路を改変してしまいます。理想的な電流計の内部抵抗は0Ωです。
では、【問題9】を解いてみましょう。
【問題9】は10mAの電流計を使って、それ以上の電流を測定しようとする問題です。ここでは図2のように、抵抗Rを電流計に並列接続し、測定電流の一部を電流計に流すことで、電流計の測定範囲を広げています。
抵抗の並列接続については、【問題2】で扱いました。この場合、電流計の内部抵抗rと抵抗Rの両端の電圧は等しいことから、
となります。さらに上記の式は、
となり、電流計で直接測れる電流のn倍の電流を測定できることが分かります。
【問題9】では10mAの電流計で30mAの電流を測定する、すなわち3倍の電流を測定します。ここで電流計の内部抵抗が5Ωであることから、
となり、並列接続する抵抗Rは「2.5Ω」と求められます。
おかげさまで本連載も10回目を迎えました。
第1回でお知らせしたとおり、次回は【中間考査】を行います。いままでの連載の復習問題を掲載しますので、知識の再確認のためにぜひチャレンジしてください。なお、今回の宿題はお休みとさせていただきます。
【問題1】から【問題9】までは、“オームの法則”を使って、さまざまな電子回路の計算をしてきました。オームの法則は、電子回路の最も基本となる公式なので、オームの法則をマスターすれば、かなりの電子回路を理解できることがお分かりになられたと思います。
また、電子回路にはオームの法則によらない素子も登場します。例えば、【問題6】で紹介したダイオードやLEDはオームの法則に従いません。これらの素子に関する計算は、その特性を理解して、疑似的・近似的に電圧源や抵抗に置き換えて解いていきます。
さて、1学期の後半では“組み込みマイクロコンピュータによる電子制御の回路”についての問題を企画しています。トランジスタといった電子回路の主体となる素子も登場しますので期待してください。(次回に続く)
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