今回の宿題は「10mAの電流計で30mAの電流を測定するために、抵抗Rを並列接続しました。その際の抵抗は何Ωですか」という問題
前回の宿題【問題8】は、1Vの電圧計で10Vの電圧を測定するには、何[Ω]の抵抗を接続すればよいか、という問題でした。皆さん解けましたか?
解けた方も解けなかった方も答え合わせをして、次項の解説までぜひ読んでみてください。毎週コツコツ問題を解いて、電気・電子回路の基礎知識を身に付けてください。
それでは、解答を発表します!
続いて、解説に入ります。
電子回路の電圧や電流を測定する計器に「テスター(マルチメーター)」があります(写真1)。テスターは大きく、測定値を指針の振れと目盛りで読み取る“アナログテスター”と測定値を数字で表示する“デジタルテスター”に分類できます。
アナログテスターの心臓部となるメーターは、“永久磁石による磁界”の中にコイルを置き、微小な電流でコイルを動かして指針を振らせる電流計です。アナログテスターでは、このメーターに抵抗を直列接続して電流を調整し、電圧を測定しています。
さらに、アナログテスターはダイヤルスイッチによって測定範囲を切り替えることができます。それは、ダイヤルスイッチの切り替えによって、“内部の抵抗回路が切り替わるから”です。
それでは【問題8】を解いてみましょう。
図1において、電圧計に加わる電圧Vmは【問題5】で解説したとおり、“抵抗の比”によって求められます。
つまり、
となり、電圧計で直接測れる電圧のn倍の電圧を測定できます。
【問題8】では、1Vの電圧計で10Vの電圧を測定する、つまり“10倍の電圧”を測定します。
【問題8】の条件より、電圧計の内部抵抗が10kΩであることから、
となり、直列接続する抵抗は「90kΩ」と求められます。
さて、電子回路の各部の電圧を測るには、図2のように測ろうとする部分の両端に電圧計を接続します。このとき電圧計の内部抵抗は抵抗R1と抵抗R2に比べて十分大きくなければなりません。電圧計の内部抵抗が小さい場合、測ろうとする部分に並列接続される電圧計の内部抵抗が無視できなくなり回路を改変してしまいます。理想的な電圧計の内部抵抗は∞(無限大)Ωです。
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