コロナ禍でもCASE対策はたゆまず、セキュリティや超小型EV、超急速充電に関心集まる:オートモーティブ 年間ランキング2020(2/2 ページ)
みなさん、おはようございます。2020年最後の金曜日です。年末の1週間、そして1年間、本当にお疲れさまでした。以前からの計画で遂行しなければならない物事がある一方で、環境の大きな変化や先の読めない状況が続いたので、多くの方にとってハードな1年だったことと思います。
7位は自動車のサイバーセキュリティに関する国際基準(UN規則)が成立したことを紹介した記事でした。この国際基準は、自動車メーカーとして、取引するサプライヤーも含めてどのような体制が必要かを規定しています。燃費値や排ガス性能のように数値を測ったり、自動車アセスメントのように点数がつけられたりするわけではないので、少し毛色が違うといえるかもしれません。個人的には、単にクルマに載せられる部品や技術にとどまらないため、「車載セキュリティ」という言葉が微妙にそぐわなくなっているように感じます。
自動運転車や高度なADAS(先進運転支援システム)に不可欠だといわれているLiDAR(Light Detection and Ranging、ライダー)に関する記事も9位にランクインしました。2020年は各社のフラグシップセダンに関する情報が明らかになり、ホンダ「レジェンド」、レクサス「LS」、メルセデスベンツ「Sクラス」がLiDARを搭載すると分かりました。LiDARが必要なシステムを載せたクルマがどれだけ普及するか、2021年も引き続き注目していきます。
11〜20位のランキングも見てみると、COVID-19関連以外の記事も登場します。13位の超急速充電の規格の現状、15位のトヨタ自動車とNTTの資本業務提携の分析など、いわゆる「CASE」に関する記事がランクインしています。
順位 | 記事タイトル |
---|---|
11位 | ダイハツ国内2工場で稼働休止、火災で仕入れ先の塗装ライン1400平方メートルが焼失(追記あり) |
12位 | 新車開発は時間との戦い、サプライヤーも参加する怒涛の試作イベント |
13位 | 「ChaoJi(チャオジ)」は超急速充電の世界統一規格となるのか |
14位 | 全固体電池の硫化系固体電解質の実用化へ、出光興産が2021年から生産実証 |
15位 | トヨタNTTの“がっかり”提携会見、その背後にある真の狙いとは |
16位 | マグナがオゾン除菌装置、新型コロナへの効果を立証する協力企業を募集中(COVID-19関連) |
17位 | コロナ禍で止まった世界中の自動車生産、改めて考えたい「BCP」 |
18位 | トヨタが新型LSで4つのLiDARを採用、高速道路出口まで運転支援 |
19位 | 新型コロナで海外調達部品に影響、ダイハツ・トヨタの人気車種の生産拠点も稼働停止(COVID-19関連) |
20位 | ホンダが新型コロナ軽症者の搬送車両を開発、陰圧状態の後部座席で飛沫感染防ぐ(COVID-19関連) |
このランキングは、MONOistで2020年に公開されたオートモーティブ関連の記事の閲覧数を基に作成しています。 |
トヨタ自動車とNTTは、スマートシティのプラットフォームの構築に取り組みます。その成果は東京都港区品川駅前のNTT街区や、トヨタ自動車東日本 東富士工場(静岡県裾野市)の跡地に建設するコネクテッドシティ「Woven City(ウーブンシティ)」で実装します。モビリティサービス専用の自動運転車「e-Palette(イーパレット)」など、スマートシティの“部品”は少しずつ見えてきました。それがどのように街になるのか、楽しみですね。
13位の記事は、和田憲一郎氏による連載の1本です。和田氏は急速充電規格「CHAdeMO」の高出力化への取り組みから、日中共同の規格策定に至るまで、急速充電の進化の動向を追い続けてきました。
走行距離などの性能を高めるため、EVやプラグインハイブリッド車(PHEV)で搭載する駆動用バッテリーの容量が大きくなると、これに合わせて充電も高出力化しなければなりません。乗用車から商用車までさまざまな電動車が登場する中で、充電技術の対応がどのように進み、普及していくのか、これもまた2021年も注目したいところです。
最後に、2019年以前に公開した記事も含めたオートモーティブフォーラムのランキングもご紹介します。先に公開したランキングと違うところは、以前公開された入門となる解説記事などが多数ランクインしているところです。いわゆる「CASE」と関わりの深い記事がたくさんあります。勝手ながら分類してみましたので、ご関心に合わせて年末年始に気軽にゆっくり読んでいただけたらとても嬉しいです。
順位 | 記事タイトル(太字は2019年以前に公開の記事) | 「CASE」 |
---|---|---|
1位 | 2021年にEVがHVの販売台数を上回る、電動車市場は4000万台に | E |
2位 | トヨタとマツダが国内工場を操業停止、新型コロナによる海外需要の急減に対応 | - |
3位 | 2020年から市販化する超小型モビリティ、免許制度や軽との差別化が課題に | S/E |
4位 | 次世代の車載ネットワーク「CAN FD」とは | C/A |
5位 | 新型コロナによる日系乗用車メーカーの国内拠点、操業予定まとめ(随時更新) | - |
6位 | 4月27日から自動車メーカーは休業状態に、新型コロナの感染拡大防止で | - |
7位 | リチウムイオン電池を車載用にするための幾つものハードル、そして全固体電池へ | E |
8位 | HILSとは何か | A/E |
9位 | アイシン精機とアイシンAWが経営統合、トヨタも合意済み | E |
10位 | 大解剖! スターターモーターの仕組み | E |
11位 | 自動車メーカーとサプライヤーはどう連携してセキュリティに取り組むべきか | C |
12位 | 日立AMSとホンダ系3社は「日立アステモ」に、経営統合は2020年度中に完了 | E |
13位 | 新型「フィット」搭載のハイブリッドシステムはなぜ「e:HEV」なのか | E |
14位 | 車載ソフトウェア開発を容易に、TRI-AD独自の開発プラットフォーム「Arene」 | A/S |
15位 | 自動車の国内生産に新型コロナの影響広がる、スバルは17日間稼働停止 | - |
16位 | 自動車セキュリティとソフト更新の国際基準が成立、2022年へ対応急務 | C |
17位 | カーエアコンの冷房はなぜ冷えるのか(後編) | E |
18位 | 自動運転車向けLiDARの開発が過熱、新方式の提案が続々と | A |
19位 | 自動車メーカーの2019年のグローバル生産、販売を振り返る | - |
20位 | 全樹脂電池を量産へ、「リチウムイオン電池の理想構造」 | E |
このランキングは、MONOistにおけるオートモーティブ関連の記事の閲覧数を基に作成しています。「CASE」とは、コネクテッド=C、自動運転=A、シェアリング/サービス=S、電動化=Eを指す略語です。 |
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