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難治性耳管開放症の治療機器を開発、82.1%の患者で有効性:医療機器ニュース
東北大学は、難治性耳管開放症に対する治療機器「耳管ピン」を開発した。医師主導治験により有効性と安全性が認められ、製造販売承認を取得。今後、厚生労働省に医療保険適用申請を行い、販売を開始する。
東北大学は2020年8月3日、難治性耳管開放症に対する治療機器「耳管ピン」を開発したと発表した。医師主導治験により有効性と安全性が認められ、同年5月29日に製造販売承認を取得した。仙塩利府病院、富士システムズとの産学連携による成果だ。
耳管ピンは、難治性耳管開放症の耳管を閉塞させる治療機器となる。2017年から仙塩利府病院 医師の小林俊光氏を研究代表として、難治性耳管開放症の患者を対象に多施設共同の医師主導治験を実施している。その結果、82.1%の患者で有効性を示し、安全性が確認された。
治験終了後、富士システムズが医薬品医療機器総合機構(PMDA)より製造販売承認を取得。今後、厚生労働省に医療保険適用申請を行い、販売する予定だ。
耳管開放症は、耳管が常に解放された状態の疾患。多くの場合、生活指導や生理食塩水を鼻から入れる処置、漢方薬などで対処できるが、難治性耳管開放症ではわずかな効果しか得られず、これまで効果の継続する良い治療法がなかった。
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