周波数応答
「周波数応答」は、制御機器や回路などに正弦波周波数の入力信号を与え、定常状態における正弦波の出力信号の波形の振幅や位相(時間の遅れ)などの時間的変化(応答)を示す。周波数特性ともいう。周波数応答はボード(ボーデ)線図を用いて表す。入出力信号の間の振幅比であるゲインと位相差を示す偏角で評価する。すなわち反応の遅れを定量的に評価することである。周波数応答は制御機器の動作が正常であるかの判断などに使う。
連載「独学! 機械設計者のための自動制御入門」の第2回では、猫の目の動きを使って周波数応答について解説している。
猫の目の周波数応答
この動画は、猫が卓球をしている人のピンポン玉の動きを目で追っている様子である。ピンポン球がゆっくりと行き来しているときは、猫の目もピンポン球をぴったりと捉えているが、速くなるとだんだんと目が追い付かなくなっている。
動画の下に示しているボード線図は、猫を構成要素とし、ピンポン球の動きが入力、猫の目の動きが出力であるとする。ボード線図では出力振幅が縦軸、周波数の対数が横軸となる。入力が低周波の場合には猫の目の動きはピンポン球に確実に追い付いている。入力の周波数が高くなると出力振幅が小さくなり、出力の位相にも遅れが出るということになる。
CAEにおいて、周波数応答は振動解析に用いる。基本は電気信号の周波数応答と同じであり、周波数は振動数を指し、出力振幅は振動を受けて構造物が振れた幅(変位)になる。任意の周波数で加えられる正弦波の荷重(加振力、つまり振動で加わる力)が付加される場合の応答を見る。構造物の破損や騒音の原因となる共振の問題を解析する際などで用いられる。
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