直動部品メーカーが仕掛ける製造業向けIoTサービスの意味、THKが参入へ:製造業がサービス業となる日(2/2 ページ)
THKとNTTドコモ、シスコシステムズは2018年10月18日、簡単、安全、グローバルに運用可能な製造業向けの予兆検知アプリケーション「OMNI edge(オムニエッジ)」を開発し、2019年春の商用化を目指す。商用化に先立ち2019年2月から国内で50社を対象とした無償トライアルと実施する。
機械部品メーカーがIoTサービスを展開する意味
さて、IoTサービスの提供といえば、日本では完成品メーカーが進めるケースが多かった。直動部品は機械のキーパーツであるとはいえ、部品メーカーが独自でIoT基盤を展開する意義についてはどう考えているのだろうか。
寺町氏は「LMガイドなど直動部品は工作機械などで考えると、中心的な役割を担う部品である。そして、基本的にはめったなことがないと壊れない。機械メーカーなどが行う予防保全サービスなどは壊れる部分を対象にする場合が多いが、これらは壊れることを前提に交換などができるように設計されている。直動部品は壊れることが前提となっていないために壊れたときは大きな損害を与えることになる。こうしたカバーできていない領域があることから、直接IoTサービスを展開する意味があると考えた」と考えを述べている。
さらに、ターゲットユーザーとしても、これらの既存のIoTサービスでカバーできていない領域を狙うという方針である。「顧客対象としているのは機械メーカーではなく、工場などのエンドユーザーを想定する。機械メーカーが保守契約などを通じてIoTサービスを行うケースもあるが、数多くの工場ではそれに当てはまらない領域が残されている。搬送設備や独自設備などをシステムインテグレーターなどが開発するケースもあり、それらは機械メーカーが保守するわけではない。そういう領域を狙っていく。中堅企業がターゲットだ」と寺町氏は狙いについて述べている。
ただ、一方で、エンドユーザーにとっては一部品だけの故障を予知するだけでなく機械全体で不具合の予兆を捉えたいというのが本音である。寺町氏は「そういうニーズがあるのは把握しており、他の部品メーカーなどと協力を進めていく話し合いは既に行っている」と機械メーカーや他の部品メーカーと連携してプラットフォーム化を進めていく考えを示している。
価格については「トライアルを通じて見極めていく」(寺町氏)とし、2019年2月から国内50社限定でトライアルを進めていく。その後2019年春に本格サービス開始を計画する。また、LMガイドの予兆検知の他ではボールねじなど他の要素部品への適用を拡大。さらに装置全体の予兆検知などに発展させる計画を示している。
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