政府主導の“インダストリー4.0”対抗基盤「IoTによる製造ビジネス変革WG」が始動:スマートファクトリー(2/2 ページ)
政府主導で2015年5月に始動した「ロボット革命イニシアティブ協議会」において、IoTによる製造業革新の動きについて、企業間連携や国家間連携の基盤となる「IoTによる製造ビジネス変革WG」が始動した。事実上、ドイツ政府が進める「インダストリー4.0」などに対する日本側の受け皿となる。
IoT時代にふさわしい製造業の形を
ロボット革命イニシアティブ協議会の「IoTによる製造ビジネス変革WG」第1回会合には、三菱電機や日立製作所などの制御機器・ネットワーク機器のメーカーに加え、富士通やNECなどのITベンダー系、三菱重工業、川崎重工業、IHI、日立造船、トヨタ自動車、日産自動車、ホンダなどのユーザー系、商社、シンクタンクなど、幅広い製造関連企業77社が参加している。その他、15団体の各種団体・工業会と、大学教員などが参加した。
あいさつに立った経済産業省 製造産業局 審議官の高田修三氏は「ドイツのインダストリー4.0や、米国のインダストリアルインターネットコンソーシアムなど世界の動きが加速する中、このWGが日本が遅れている領域を補い、さらに世界に対してリードしているところをさらに進められるような場としていきたい」と述べた。
同WGでは、世界的な動向を踏まえ、官民一体となった連携で、日本としての製造ビジネスにおけるIoTによる変革を目指していく。具体的に実施する取り組みとしては、以下の4点となる。
- IoTによる新たな製造ビジネスのモデルケース調査
- 標準化活動のベースとなるビジネスモデルの検討および参考情報の供与
- IoT活用メリットの調査
- ドイツ、米国など国際的な機関との協議を行うに当たっての対処方針策定
また、2015年6月に発足した「Industrial Value Chain Initiative(IVI)※)」と連携した取り組みを行うことも活動内容に盛り込まれている。
※)関連記事:「つながる工場」実現に向けた“日本連合”の土台へ、IVIが設立総会を開催
なお、第1回会合では、同WGの共同主査として、三菱電機 執行役員 FAシステム事業本部 副事業本部長の山本雅之氏と、日立製作所 電力・インフラシステムグループ 経営企画本部 事業開発渉外部 部長の水上潔氏が就任することも発表されている。
今後は月に1回のペースでワーキング活動を実施し、IoTによる製造ビジネス変革についてのコンセンサスの形成を図るとともに、国際的な論議への積極的な貢献を進めていく。
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