サスペンション変更の新型「アルファード/ヴェルファイア」が目指す“高級感”:「オデッセイ」「エルグランド」と比較(3/5 ページ)
トヨタ自動車は3ナンバーサイズのミニバン「アルファード」と「ヴェルファイア」の7年ぶりとなるフルモデルチェンジを発表。「大空間高級サルーン」を開発コンセプトに、ミニバンでありながら高級セダンのような基本性能と、広い車室内空間の両立させたという。
ミニバンにもダブルウィッシュボーン方式を採用
新型アルファード/ヴェルファイアは、快適性の高い車室内空間の実現に加え、走行性能も追求されている。特にそれが表れているのが、新開発となるダブルウィッシュボーン方式のリヤサスペンションだ。先代モデルでは、トーションビーム方式サスペンションが採用されていたが、今回の変更によってトヨタ自動車が現在日本国内で販売しているミニバンの中では、新型アルファード/ヴェルファイアのみがダブルウィッシュボーン方式のリヤサスペンションを採用した車両となる(商用車の「ハイエース」の一部グレードを除く)。
一般的にダブルウィッシュボーン方式は、サスペンションの剛性が確保しやすく、衝撃吸収性能に優れる一方で、生産コストが高いというデメリットもある。トヨタ自動車の説明員によれば「当初はト―ションビーム方式も検討していたが、高い走行安定性や静粛性を実現するためにはダブルウィッシュボーン方式を採用する必要があるという判断に至った」と説明している。
先述した通り、新型アルファード/ヴェルファイアは、従来比で全高10mmを低くしながら車室内高の1400mmを維持している。また、車室内の快適性を維持し、多彩なシートアレンジを実現させるためにフロア部分もフラットな設計となっている。
トヨタ自動車は、こうした車室内空間を実現させるため、ダブルウィッシュボーン方式サスペンションの構造に工夫を凝らした。フロア部分のねじれ剛性を高めるためのラダーを避けられるよう湾曲構造のアームを採用し、高さのあるアブソーバーを低配置にする設計がとれらている。「アブソーバーは、斜めに配置することで高さの問題をクリアするという手段も検討した。しかし、高い走行性能を実現するために、限られた空間の中でアブソーバーを地面に対して垂直に設置して、その性能を活用できるようこうした設計方法になった」(同説明員)。
新型アルファード/ヴェルファイアはこの他にも、“高級車として徹底的に磨き上げた基本性能”として、超高張力鋼板(ハイテン)の採用範囲の拡大や、約200点に及ぶスポット溶接を用いることで車体の高剛性化を図った。また、構造用接着剤や制振材を鋼板ではさんだサンドイッチ鋼板をダッシュ部に使用することで減衰特性や静粛性を向上させている。これらによって向上したボディ性能と、新開発のダブルウィッシュボーン方式のリヤサスペンションにより、高級車に引けをとらない上質な乗り心地と静粛性、優れた操縦安定性を実現したという。
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