サスペンション変更の新型「アルファード/ヴェルファイア」が目指す“高級感”:「オデッセイ」「エルグランド」と比較(5/5 ページ)
トヨタ自動車は3ナンバーサイズのミニバン「アルファード」と「ヴェルファイア」の7年ぶりとなるフルモデルチェンジを発表。「大空間高級サルーン」を開発コンセプトに、ミニバンでありながら高級セダンのような基本性能と、広い車室内空間の両立させたという。
「オデッセイ」「エルグランド」と比較!
新型アルファード/ヴェルファイアと競合するのは、ホンダの「オデッセイ」、日産の「エルグランド」だ。表1では、ガソリンモデルの新型アルファード、オデッセイ、エルグランドの外形寸法(全長×全幅×全高)、ホイールベース、最小回転半径、室内寸法(室内長×室内幅×室内高)車両重量、燃料タンク容量、JC08モード燃費、車両価格(税込み)、フルモデルチェンジの時期を示している。なお、アルファードとオデッセイについては、エンジン排気量2.4〜2.5lの8人乗りFF車モデルの仕様値を用いている(新型アルファードは「Xグレード」、オデッセイは「Gグレード」、エルグランドは「250Highway STAR」)。
車両名 | アルファード | オデッセイ | エルグランド |
---|---|---|---|
外形寸法 | 4915×1850×1880mm | 4830×1800×1695mm | 4945×1850×1815mm |
ホイールベース | 3000mm | 2900mm | 3000mm |
最小回転半径 | 5.8m | 5.4m | 5.7m |
室内寸法 | 3210×1590×1400mm | 2935×1625×1325mm | 3025×1580×1300mm |
車両重量 | 1990kg | 1720kg | 1930kg |
燃料タンク容量 | 75l | 55l | 73l |
リヤサスペンション | ダブルウィッシュボーン方式 | トーションビーム方式 | マルチリンク方式 |
JC08モード燃費 | 11.6km/l | 13.8km/l | 10.8km/l |
車両価格 | 319.7万円 | 276万円 | 359.6万円 |
発売時期(フルモデルチェンジ) | 2015年1月 | 2013年11月 | 2010年5月 |
表1 上級ミニバンの比較 |
3車種の室内高さを比較すると、1880mmという全高を生かしたアルファードが1400mmと最も高くなっており、車内長でもトップとなっている。アルファードの全高はエルグランドより65mm高くなっているが、室内高さは100mmとさらに差が開いている。エルグランドより容量の多い75lの燃料タンクを搭載しながらこの車室内高を実現しているのは、トヨタ自動車の低床プラットフォームによるところが大きいだろう。
燃費と価格では、車両重量が最も軽いオデッセイが良好な数値を示している。しかし、リヤサスペンションの面ではアルファードがダブルウィッシュボーン方式、エルグランドがより上位のマルチリンク方式を採用しているのに対し、オデッセイはトーションビーム方式でやや格落ち感がある。
運転支援システムの面では、オデッセイに軍配が上がるだろう。ホンダは2015年1月23日より、オデッセイの一部グレードに同社の運転支援システム群「Honda SENSING(ホンダ センシング)」の標準搭載を発表しており、本稿で紹介したGグレードにも採用されている。
一方で新型アルファード/ヴェルファイアの運転支援システムは、先代モデルで採用したものからほとんど変更されていない。2015年発売の車両に順次導入するとしていた新たな予防安全パッケージ「Toyota Safety Sense」の採用は見送られた(関連記事:トヨタが2015年から運転支援システムを一新、高速道路では自動運転も)。また、最上位グレードのExecutive Loungeを除いてメーカーオプションになっており、比較に用いたXグレードでも追加コストが発生する。
発売から5年近く経過しているエルグランドの自動ブレーキ機能「インテリジェントブレーキアシスト」は、衝突被害の軽減までで衝突回避は行えない。フルモデルチェンジの際には、新世代の自動ブレーキ機能「エマージェンシーブレーキ」が採用されるとみられる。なお、比較に用いた250Highway STARでは、インテリジェントブレーキアシストなどの一部機能は装備できない。
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