ARから現実世界を操作できる新感覚マウス? セガが開発:ESEC2013 速報
「第16回 組込みシステム開発技術展(ESEC2013)」のアイティアクセス・ブースでは、セガが開発したAR入力デバイス「フリックライブ(仮)」が参考出品されていた。カメラ付きスマートフォンやタブレット端末を、操作したいPCディスプレイや周辺機器にかざし、実物に触れることなく、タブレット端末の画面上に映し出されているAR画面からそれらを操作できる。
2013年5月8〜10日まで開催中の「第16回 組込みシステム開発技術展(ESEC2013)」に出展したアイティアクセスのブースでは、離れた場所の画面や機器をスマートフォンやタブレット端末のカメラで“見て”、実際に“触れる”ことができる、AR(Augmented Reality:拡張現実)入力デバイス「フリックライブ(仮)」を参考出品していた。同ソフトウェアを開発したのはゲームメーカーのセガ。ベース技術として、セガの2D/3D UI・コンテンツ統合開発環境「Acroarts(アクロアーツ)」のランタイムエンジンが活用されているという(※アイティアクセスは、Acroartsの販売代理店である)。
専用アプリケーションを起動したカメラ付きタブレット端末を、操作したいPCディスプレイや周辺機器にかざし、実物に触れることなく、タブレット端末の画面上に映し出されているAR画面(映像や仮想オブジェクト)から、それらを操作できるというもの。一言でいうと、“画面の中の画面を操作できる”ソフトウェアだ。「逐次読み取り・操作など、裏では複雑なグラフィックス処理や描画処理などが行われており、そこに、カムコーダやテレビなどのUI(User Interface)開発で採用実績のある、Acroartsのランタイムエンジンが生かされている」(説明員)という。
展示会場では、タブレット端末のAR画面上から現実世界のPCディスプレイを操作(スライドのページめくり)したり、現実世界に置いてあるPC周辺機器(LEDライト)を制御したり、あるいは、AR画面上に表示された仮想的なボタンを押して、現実世界のPCディスプレイの表示コンテンツを切り替えたりするデモを実演してみせた。「これまでのAR技術は、“目新しいもの”として、おまけ的な使われ方が主だったが、同ソフトウェアを活用すれば、現実世界との間で情報交換(入出力など)が可能になり、実用的にAR技術を生かすことができるようになる」と説明員は語る。
同ソフトウェアを組み込んだタブレット端末は、現実世界のPCから“マウス”として認識される。AR画面上のタップ位置を現実世界のPCディスプレイの座標に変換し、マウスのメッセージとして送信している。今回のデモでは、環境上の問題で有線で直接タブレット端末とPCを接続していたが、無線(Wi-FiやBluetooth)で接続することもできる。
今後、組み込み機器への応用展開だけでなく、「災害対応。例えば、原発事故などで人が近寄れないような環境において、ロボットに搭載されたカメラ映像を通じて、遠隔から現場にある装置などを制御・操作するといったこともできるのではないかと考えている」(説明員)という。
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