ELYZAは、再帰的自己改善(RSI)の研究開発を推進する「ELYZA RSI Research」を立ち上げたと発表した。併せて、自律研究基盤を用いた音声対話AIエージェント「ELYZA Voice Agent」やフィジカルAIに関する取り組みについても紹介した。
AI(人工知能)モデルの性能向上を自律的に継続できる技術として「RSI(Recursive Self-Improvement:再帰的自己改善)」が注目されている。そして、国家の重要事項となっている最先端モデルの開発を加速するために、RSIの研究開発力を高めることも不可欠になりつつある。
ELYZAは2026年10月2日、東京都内で会見を開き、「RSI」の研究開発を推進する「ELYZA RSI Research」を立ち上げたと発表した。併せて、自律研究基盤を用いた音声対話AIエージェント「ELYZA Voice Agent」やフィジカルAIに関する取り組みについても紹介した。
ELYZAは2018年9月創業の、東京大学の松尾研究室からスピンアウトして設立されたAIスタートアップである。生成AIの実用化支援、業界/企業特化型の独自LLM(大規模言語モデル)開発の伴走支援などを手掛けている。2024年4月からはKDDIグループの傘下に入った。
ELYZA 代表取締役の曽根岡侑也氏は「当社は2019年からLLMの研究開発を行って国内で反響を得てきた。また、50社以上に生成AIの研究開発/活用の支援を行ってきた」と述べた上で、法人向け生成AI活用ツール「ELYZA Works」を紹介した。
LLMは、2024年時点でシンプルタスクでは精度が上限に達しており、2026年9月時点のAI研究の主戦場は、創薬/材料/数学など高度な科学研究にAIを用いる「AI for Science」や、人間なら数時間〜数日以上かかるような複数工程をまたがる複雑なタスクを完遂する能力を扱う「Long Horizon」タスクへとシフトしている。AAII(Artificial Analysis Intelligence Index)におけるベンチマークでも、高度な推論、数学的な証明や論理展開、コーディング、実務の完遂力、信頼性が主な論点となっている。毎週のように新しいモデルが登場しているが、高難易度の問題でも6割解けるレベルに達し、多数のAIエージェントを協調させることで数学の未解決問題を解決する事例も出現している。
2026年9月3日にはOpenAIが、PCを操作して複数の工程を進める「Computer Use」能力が大きく向上した「GPT-6 Astra」を公開した。中国企業では基盤モデルの開発/オープン化が進んでいる。感覚的には2カ月遅れくらいで、中国からオープンモデルが出てきている感じだという。
曽根岡氏は「AIエージェントを開発するには、基盤モデルに加えて、多岐にわたるハーネス(高度な処理のための周辺システム)開発や、その品質を測る評価機構が重要だ」と説明する。現時点で、ハーネスや評価機構については、人間が開発して精度を向上している状況にある。
一方、2026年初頭からは「AIによるAI開発」によってAIモデルの進化が加速しており、フロンティアモデルのリリース頻度も高まっている。そして、この先にあるのが再帰的自己改善=RSIである。今後は、ループを回す主体が人間からAIに移行することで、さらに加速度的な性能向上が想定されている。改良した成果をAIが自分自身に戻すというループが自動化されることで、AIが自分自身を改善できるようになるというわけだ。
一方、各国政府による規制や介入の動き、開発各社のフロンティアラボ側による開発速度減速の話も出てきている。
いずれにしても、今後のAIモデルの加速度的な性能向上は間違いない。リスク管理や規制の動きによって、フロンティアモデルの一般利用が制限され、公開されなくなる可能性もある。曽根岡氏は「日本でもフルスクラッチによるソブリンAI開発に加えて、RSIの研究を推進することが重要なのではないか」と強調する。
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