このような背景から立ち上げられたのが、AIによるAI開発研究を推進するELYZA RSI Researchである。これまで培ってきたLLM研究開発の知見とAIエージェントの安全性/高精度処理を担保するハーネス開発、KDDIグループによる国内最大規模のGPUリソースを活用することで、高度な研究開発体制を実現できるという。
ELYZAは、AIを用いた開発を「Human-Only」「Human-in-the-loop」「Human-on-the-loop」「Closed loop」の4ステップで定義しており、その先にRSIがあると考えている。これを基盤モデル、ハーネス、評価機構それぞれにおいて取り組みを進めている。
基盤モデルについては、1〜2日程度と少ない工数で事後学習ができるようになった。具体的には、国産LLMであるLLM-jp-4をベースにモデル学習基盤を適用した。開発された事前学習済みMoE(Mixture of Experts)モデル、事前学習済みDenseモデル、それぞれに独自の事後学習を実施したモデルがHugging Face上で公開された。
次に、評価機構については、第2ステップのHuman-in-the-loop、すなわち半自動でベンチマーク開発ができるようになった。具体的に開発したのは問い合わせ応答ベンチマークで、業務手順書を基に顧客と対話して、最後までやりとりを行うという作業を対象にしたものだ。振る舞い、ツールの使い方などが評価される。人は前提知識と概要の提示、最終確認のみを担当する。半自動で作成されたAIエージェントの評価ベンチマークも、Hugging Face上で公開された。
そしてハーネスについては、第3ステップのHuman-on-the-loop、すなわちほぼ全自動でハーネス改善ができる段階に達していると紹介した。自律改善エージェントを用いることで、人間が初期に作ったハーネスで47.5%だった性能を、全自動のプロセスで61.9%まで改善できるようになっている。AIがダメだったポイントを自分で見つけ、少しずつ改善するというサイクルを自動で繰り返し、精度と推論コストを改善していく。トークンコストも3文1まで下げられたという。
これを「自律研究基盤」として育てて、パートナー企業と提携しながら領域特化のAIエージェント開発を行い、社会実装を進める。その第1弾となるのが、音声対話AIエージェントのELYZA Voice Agentである。業務を完結させることができ、しかも自己改善が可能だと紹介された。また、医療や製造業向けのAIエージェントの開発も行っているという。
RSIやAIによるAI開発の研究は、物理空間を対象としたフィジカルAIの研究開発にもつなげられる。VLM(視覚言語モデル)やVLA(視覚言語行動)モデルの改善である。ELYZAでは自然言語による指示で難しいオーダーを実行するロボット基盤モデルの開発を進めている。
国内で生成AI開発を推進するGENIAC(Generative AI Accelerator Challenge)のプロジェクトに採択されたKDDIと連携して、小売り/物流向けの基盤モデルの研究開発を開始していることが紹介された。マニピュレーション以外のプランニングの改善などにも取り組むとしている。
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