自動車の車体を一体成形する技術である「ギガキャスト」ついて解説する本連載。第7回は、第6回の前編に続き、テスラのギガキャストに関する基本的な考え方とその方向性について見てみる。
今回の中編は、前回の前編の最後で取り上げた「2.3 クルマづくりの基本」の「1)ボディープレス機(大型プレスライン)」からの続きとなる。
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プレス機だけでは部品は作れない。実際に鋼板を変形させるのは金型(ダイ)である。金型は、上型(パンチ側)、下型(ダイ側)のセットで構成される。
図7は、ボディープレス金型フロントフェンダーLの上型/下型の例を示す。ちなみに車両は、1996年9月に発売されたトヨタ自動車の「マークII」の8代目モデルである。
図8に、大型プレス成形機によるボディーサイドパネルの成形の様子を示す。図8(a)はボディーサイドパネルの第3工程である曲げ(ベント:Bending)工程の型締め、図8(b)は同工程の型開き、図8(c)はプレス成形加工後のボディーサイドパネルの様子である。
フロントフェンダー外板の成形は、以下のような金型と工程を経て行われる。
ドロー型:鋼板を深く伸ばす⇒トリム型:不要部分を切断⇒曲げ型:端部を折る⇒フランジ型:溶接接合部を作る
従って、フロントフェンダー外板の1セットだけで、4工程×2(上型/下型)×2(ボディーの左右)=16個の金型が必要になるという計算だ。そして金型1つ当たりの経費が1000万円とすれば、1セットで1億6000万円かかることになる。
大型車種では、ボンネット、ドア、ルーフ、フェンダー、サイドパネル、床下など多数の部品があるため、各部品の十数倍の数だけ金型が必要になる。つまり、1車種に必要な金型投資は数十億円以上の規模に達するというわけだ。
プレスされた部品だけでは、そのまま車体にはならない。フロア/サイドパネル、ルーフ、ピラー、クロスメンバーなどの各部品を組み合わせて溶接する必要がある。
図9に、ボディー溶接ロボットラインにおける作業の様子と流れを示す。プレス工程で作られた車体部品同士をスポット溶接機を用いてその熱で溶かしてつなぎ合わせ、車両の形状、いわゆる車体のボディーを作る。
図9(a)で床面、側面、天井の順に組み上げる。図9(b)でフロント部を、図9(c)でボディーサイドの側面と床面を、図9(d)でリア後部とボディーサイド側面を、図9(e)でルーフ天井とフロントピラー/センターピラー支柱を、図9(f)でアンダーボディーなどの溶接を行う。
次に、組み立て終わった車体にドアやボンネットなどを取り付けていく。そして最後に、検査員の目や手で車体の検査を行う。
現在の車体工場では、多数の産業用ロボットが使用される。電極で複数部品の鋼板を挟んで電流で接合するスポット溶接に用いられている。これらの溶接は、車両の走行時の安定性に大きく関わるため、±0.1mm以内という高い精度で行わなければならない。
車体1台分で溶接点は4000カ所に達する。これを素早く処理するためにボディー溶接ロボットラインには、100台規模の産業用ロボットから成る溶接ステーションが設置される。
繰り返すが、車体溶接では「±0.1mm単位の位置精度」が求められるため、生産品質を決める重要設備となっている。
ボディー搬送装置/治具の運用方式は、図10に示すように、各社あるいは同じ会社内でも工程間でまちまちである。ただし、部品を正確な位置へ運ぶことが求められる。
使用される設備としては、コンベヤー、AGV(無人搬送車)、ハンガー搬送、パレット、専用治具などがある。
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