1990年代末〜2000年代初頭の国際協調プロジェクト 大規模宇宙機器開発(その2)ものづくりをもっと良いものへ(8)(3/3 ページ)

» 2026年09月04日 08時00分 公開
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ナレッジマネジメント

 CR開発で特に重点を置いたのが、情報の共有である。社内外に存在する多くの設計情報を共有することの重要性は、開発当初から明らかだった。そこで、いわゆる「PDM(製品データ管理)」システムについても調査したが、当時のPDMシステムについて、筆者は次のように判断した。

  • 画一的な使い方をするリピート製品には適用可能だが、新規製品には向いていない。特に、最初から製品の構成ツリーが定まっていることが前提となるため、CRのような新規開発には適用できない
  • 保守には専任者が必要となる

 以上の2点から、PDMシステムの適用は見送った。費用も膨大であり、CRでは問題にならなかったものの、当時は、この種のシステムを導入できるのは自動車産業などに限られるのではないかと感じた。

 その結果、われわれが一番慣れ親しんでいた「Lotus Notes」(現:HCL Notes)上に設計情報を載せ、共有することにした。当然、共有範囲は社内に限定される。図6に一例を示す。ただ、インプットする人によって情報の濃淡もあり、あくまで参考データとして使用した。

 また、後日、これらのデータから開発の流れを追ってみたが、なぜこのように判断したのかということまでは読み取れなかった。これは、最終的な判断があくまで人によるものだったということである。

Lotus Notesによる情報の共有 図6 Lotus Notesによる情報の共有[クリックで拡大]

リスクマネジメント

 NASA Ames Research Center(NASAエイムズ研究センター)の三浦宏一氏から多くを学んだが、時間がなく途中で終わってしまった。しかしながら、リスクマネジメントはSystems Engineering(システムズエンジニアリング)の重要なアイテムであり、今後も勉強を続けたいと考えている。

総括:設計工学は役に立ったか

 CR開発は、設計工学の視点から見れば、最良のモチーフであった。製品開発のプロセスにおいて、多くの重要な設計パラメーターをわれわれの責任で決定することができた。このような大規模製品の開発では、こうした機会はまれである。

 では、設計工学がCR開発にどの程度役に立ったかと問われると、即答は難しい。設計工学がなければCR開発ができなかったかというと、そのようなことはないだろう。恐らく、設計手法を適用することによって、設計プロセスの可視化、効率化、論理化が、それまで以上に可能になったというのが正しい。

 もちろん、NASAとの設計審査や調整において、設計の考え方や根拠を論理的に説明する上では不可欠であった。 (次回へ続く)

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筆者プロフィール:

大富浩一https://1dcae.jp/profile/
Ohtomi Design Lab. 代表

⇒代表者アドレス:ohtomi3@outlook.jp


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