“日本橋”から次世代のモノづくりを PTCジャパン15年ぶりオフィス移転の狙い製造マネジメントニュース

PTCジャパンは、約15年ぶりに東京オフィスを西新宿から日本橋へ移転し、AI時代の製造業DXを支援する新拠点として公開した。

» 2026年08月19日 06時45分 公開
[安藤照乃MONOist]

 PTCジャパンは2026年8月18日、新たに入居した日本橋の東京オフィス(東京都中央区)で会見を開き、同社 社長執行役員の神谷知信氏や、来日した米国本社の経営陣が、オフィス移転の狙いや、製造業向けに提唱する「インテリジェント製品ライフサイクル」の戦略などについて説明した。

テープカットに参加した(左から)ミダス 代表取締役社長の畑山 啓一氏、PTC エグゼクティブバイスプレジデント 兼 最高人事責任者のベス・コンウェイ氏、PTCのキャサリン・クニカー氏、PTCジャパンの神谷知信氏、PTCのロバート・ダダ氏、PTC エグゼクティブバイスプレジデント兼 最高財務責任者のジェニファー・ディリコ氏、三井不動産 ビルディング本部 法人営業二部 ジェネラルマネージャーの工藤人護氏 テープカットに参加した(左から)ミダス 代表取締役社長の畑山 啓一氏、PTC エグゼクティブバイスプレジデント 兼 最高人事責任者のベス・コンウェイ氏、PTCのキャサリン・クニカー氏、PTCジャパンの神谷知信氏、PTCのロバート・ダダ氏、PTC エグゼクティブバイスプレジデント兼 最高財務責任者のジェニファー・ディリコ氏、三井不動産 ビルディング本部 法人営業二部 ジェネラルマネージャーの工藤人護氏

「日本橋」を日本モノづくりの未来に向けた起点に

 PTCジャパンは今回、約15年ぶりに東京オフィスを西新宿から日本橋のOVOL日本橋ビルへ移転した。神谷氏は移転の背景について「今回の移転は単なるオフィスの移設ではなく、日本のモノづくりの未来に向けた新たな挑戦の起点となる。東京オフィスは、PTCのグローバルにおける最重要新拠点の1つだ」と強調した。

PTCジャパンの神谷知信氏 PTCジャパンの神谷知信氏

 新たな拠点に日本橋を選んだ理由については、江戸時代に整備された五街道の起点であり、長きにわたり人やモノ、情報が行き交い、新たな価値を生み出してきた歴史がある点を挙げている。

「AI(人工知能)の時代に、人と人とのコミュニケーションの大切さを日々実感している。この大変革期の中で新しい価値を生むためには、原点に戻り、コミュニケーションによる創造性が必要不可欠だ。PTCが大切にしている『デジタルとフィジカルの融合』を、実際に働く人が空間の中で体験できるオフィスを目指した」(神谷氏)

東京オフィスのゲストエリア 東京オフィスのゲストエリア[クリックで拡大]
執務エリアにつながる「道」となる窓口 執務エリアにつながる「道」となる窓口[クリックで拡大]

 新オフィスのコンセプトは「Living Harmony(生きた調和)」としている。オフィス空間は、社内外をつなぐ「橋(Bridge)」と、アイデアが交わる「道(Path)」の2つをテーマに設計した。ゲストエリアは日本橋の橋をイメージし、PTCと顧客、テクノロジーと人をつなぐ場所としてデザインしている。執務エリアにはオフィスの中を一本の道が通るような動線を設け、知識やアイデアを自然に交換できる環境を整えた。神谷氏は「人がつながってよりクリエイティブな発想を生み出すオフィスを作る。日本橋から新たな価値創造の輪を広げ、お客さまとともに次世代のモノづくりと産業の未来を切りひらく」と意気込みを示した。

ハードとソフトの複雑化、サプライチェーン課題の解決へ

PTCのロバート・ダダ氏 PTCのロバート・ダダ氏

 PTC 最高収益責任者のロバート・ダダ氏は、製造業を取り巻く市場環境の変化と、同社が担う役割について説明した。

 ダダ氏は「ここ数年はクラウドやSaaSなどが変化し続けており、この中で企業が成果を出し続けるには非常に苦労がいる」と指摘する。さらに、「特にハードウェアだけでなくソフトウェアの複雑さは増している。その中でサプライチェーンや製品もグローバルに展開しなければならない。また、AIの登場や地政学リスクなど、いろいろな状況の中で課題がある」と述べ、製造業が直面する厳しい現状を解説した。

 こうした課題を解決するアプローチとして、PTC 最高マーケティング・サステナビリティ責任者のキャサリン・クニカー氏は、同社が提唱する「インテリジェント製品ライフサイクル(IPL)」の戦略について説明した。IPLとは、製品データにおけるAI活用を定義したコンセプトである。製品データのデジタルスレッドを構築してライフサイクル全体を定義することで、デジタル製品データはアクセスしやすく、信頼性が高く、タイムリーで実用的なものとなるという。PTCはこの考えに基づき、CADやPLM、ALM、SLMといった主力製品にAIを組み込むことで、ソフトウェアのAI強化を図り、製造業のさらなる生産性向上を推進している。

インテリジェント製品ライフサイクルを体感するデモセンターを開設

 このPTCが提唱する「インテリジェント製品ライフサイクル(IPL)」の世界観を、顧客がリアルに体験し、議論できる場として新オフィス内に設けられたのが、デモセンター「Japan Experience Center(JXC)」だ。

Japan Experience Center(JXC)ではさまざまなデモンストレーションが体験可能 Japan Experience Center(JXC)ではさまざまなデモンストレーションが体験可能[クリックで拡大]

 神谷氏はJXCについて、「デジタルとリアルの融合をお客さまがリアルに体験できることを目指す」と説明する。JXCは単なる最新技術の展示スペースにとどまらず、製造業が直面する課題や将来構想について、顧客とともに考え、議論し、次世代のモノづくりを共創する場として機能する。

 JXCでは、建設機械メーカーのBobcatやランボルギーニにおける製品ライフサイクル管理を通じたイノベーションの実現事例などを紹介している。クニカー氏はJXCの位置付けについて「日本およびアジア太平洋地域(APAC)の顧客とのエンゲージメントを促進するための拠点になる」と語り、グローバル戦略における同センターの重要性を強調した。

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