炭素材料の欠陥由来スペクトルの構造的起源を原子レベルで解明研究開発の最前線

千葉大学は、炭素材料の分析に用いるラマン分光法やX線光電子分光法などで、スペクトルに現れる欠陥由来の「謎」ピークの構造的起源を原子レベルで解明した。炭素材料の構造を、これまでにない精度で解析するための基盤を確立した。

» 2026年07月29日 11時00分 公開
[MONOist]

 千葉大学は2026年7月1日、炭素材料の分析に用いるラマン分光法やX線光電子分光法(XPS)などで、スペクトルに現れる欠陥由来の「謎」ピークの構造的起源を原子レベルで解明したと発表した。炭素材料の構造を、これまでにない精度で解析するための基盤を確立した。

炭素材料における欠陥ピークの構造的起源の解明 炭素材料における欠陥ピークの構造的起源の解明[クリックで拡大] 出所:千葉大学

 今回の研究では、炭素繊維を分析モデルとして使用し、酸素含有官能基や非六員環、空孔欠陥を含む34種類のグラフェンモデルを構築。実験的評価と高度なスペクトル計算で詳細に構造解析した。

 その結果、XPS分析において、従来はsp3混成炭素に起因すると考えられてきた285eV付近のピークが、実際には七員環や八員環などの空孔欠陥を含む3つの環に囲まれた炭素原子に由来することを発見した。また、ラマン分光法で1500〜1550cm−1に現れるピークが、近傍の非六員環や環状エーテルなどの酸素含有官能基の影響を受けた六員環内のC=C結合に由来することを特定した。

 炭素材料の性能や用途は、欠陥の種類や分布などの構造的特性に依存している。そのため欠陥の正確な把握は、材料の機械的、熱的、電気的、化学的特性の向上に不可欠だ。

 今回の成果は、これまでブラックボックスとされてきた原子レベルの複雑な欠陥構造を理解するための重要な基盤となる。航空宇宙工学や燃料電池、断熱材などに向けた次世代炭素材料の精密設計やエンジニアリングへの応用が期待できる。

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