固体表面で分子を捕まえる吸着の考え方:はじめての化学工学(20)(2/2 ページ)
吸着剤が平衡まで吸着すると、それ以上は除去できません。運転を続けるには、吸着剤を新品に交換するか、吸着質を脱着させて吸着剤を再生する必要があります。物理吸着の可逆性を利用した代表的な再生方式が次の2つです。
- 温度スイング吸着(TSA:Temperature Swing Adsorption):温度が高いほど平衡吸着量が小さくなる性質を利用し、スチームや加熱ガスで吸着剤を加熱して脱着させる
- 圧力スイング吸着(PSA:Pressure Swing Adsorption):圧力(分圧)が高いほど吸着量が大きくなる性質を利用し、加圧して吸着させ、減圧して脱着させる
特にPSAは、複数の吸着塔を切り替えながら吸着と再生を繰り返すことで、連続的に気体を分離/精製できます。空気から窒素や酸素を取り出す装置として実用化されており、吸着が「除去」だけでなく「分離/製造」の技術としても利用されていることが分かります。
なお、再生を繰り返しても性能が戻らなくなった吸着剤は、新品に交換します。水処理用の活性炭のように、使用済み品を専門業者が高温で再生し、繰り返し使う仕組みも普及しています。
図1. PSAの動作イメージ(吸着の1と2で吸脱着を繰り返す)[クリックで拡大]
今回は、吸着の種類や基本的な操作方法について解説しました。吸着は微量成分を処理できることから、製品の品質を大きく左右する重要な単位操作です。この知識を踏まえ、次回は吸着の設計計算について解説します。
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かねまる
プラント技術の解説サイト「ケムファク」を運営。大学院まで化学を専攻し、現在は化学メーカーの生産技術職に従事。
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