気体や液体に含まれる微量成分を、固体の表面に集めて取り除く操作が「吸着」です。今回は、吸着の種類や基本的な操作方法について解説します。
吸着とは、気体や液体を固体に接触させて特定成分を分離する操作です。固体の表面で発生します。吸着したい物質を「吸着質」、吸着質を吸着させる固体物質を「吸着剤」と呼びます。第18回と第19回では、ガスを液体に溶かし込む吸収を解説しました。吸収が液体の「中」に取り込む操作であるのに対して、吸着は固体の「表面」に付着させる操作です。
冷蔵庫の脱臭剤、お菓子の袋に入っている乾燥剤(シリカゲル)、家庭用浄水器の活性炭カートリッジは、いずれも吸着を利用した身近な製品です。主な工業的な吸着の用途は、微量成分の除去です。蒸留のように大量の成分同士を分け合う操作とは対照的に、ppmオーダーの特定の不純物を取り除けます。排水中の有機物除去、製品の脱色/脱臭など、主にプロセスの仕上げ工程で採用されます。
吸着は、吸着質と吸着剤表面との間に働く力の種類によって、「物理吸着」と「化学吸着」の2つに分類されます
物理吸着は、ファンデルワールス力と呼ばれる分子間の弱い引力によって吸着します。結び付きが弱いため、加熱や減圧で吸着質は表面から離れていきます。この離れる現象は「脱着」と呼びます。吸着と脱着を繰り返せる、つまり吸着剤を再生して何度も使えることが物理吸着の大きな特長です。吸着剤を交換しなくて良いため運転を継続させやすく、工業プロセスにおいては物理吸着が採用されがちです。
化学吸着は、吸着質と吸着剤表面との化学結合で吸着します。結び付きが強く、特定の物質だけを強力に捕まえられます。一方で、一度吸着すると簡単には脱着できません。吸着質の除去とは異なりますが、固体触媒の表面で原料分子が活性化されるのも化学吸着の代表例です。第12回「不均一系触媒反応の機構と反応器」で解説した触媒反応は、化学吸着が出発点になっています。
なお、吸着は発熱現象です。吸着が起こると吸着熱が放出されます。物理吸着の吸着熱は小さなものですが、化学吸着では大きな熱が発生します。
吸着は表面で起こる現象であるため、性能は吸着剤の表面積が大きく影響します。このことから、外側から見える表面だけではなく、内側の表面も重要です。そのため、実際に用いられる吸着剤は、内部にも無数の細かい穴が開いた多孔質の固体です。この穴を細孔(さいこう)と呼びます。
吸着剤の種類は主に、活性炭、シリカゲル、活性アルミナ、合成ゼオライト(モレキュラーシーブ)の4種類です。用途に関しては、油に近い成分(有機物)には活性炭、水分にはシリカゲル、活性アルミナ、ゼオライトの利用が適しています。吸着剤の選定は、対象成分と細孔の大きさ/表面の性質との相性で決まります。実際の製品は球状や円柱状(ペレット)に成形されたものが多く、用途によっては繊維状やハニカム状の吸着剤も使われます。形状は圧力損失にも関わってきます。
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