日本TIが第6世代となるバッテリーモニターIC「BQ79826Z-Q1」について説明。体組成計と同じ測定原理を用いたEISエンジンによってバッテリーセル内部の潜在的な異常をリアルタイムで検知できるとともに、業界初の26セル直列接続を実現するなどの特徴を備えている。
日本テキサス・インスツルメンツ(日本TI)は2026年6月24日、オンラインで会見を開き、EV(電気自動車)やESS(定置用蓄電池)向けのバッテリーモニターIC「BQ79826Z-Q1」について説明した。同社のバッテリーモニターICとして第6世代となり、体組成計と同じ測定原理を用いたEIS(電気化学インピーダンススペクトロスコピー)エンジンによってバッテリーセル内部の潜在的な異常をリアルタイムで検知できるとともに、業界初の26セル直列接続を実現するなどの特徴を備えている。現在、量産前サンプルと設計者向けの評価基板、レファレンスデザインを含む開発サポートを提供しており、2026年末に量産を開始する予定である。
世界的にEVの普及が進むとともに、急拡大するAI(人工知能)データセンター向けにはESSの需要が高まっている。EVやESSでは、数百個のバッテリーセルを接続した大容量のバッテリーモジュール/バッテリーパックが用いられている。これらの安全かつ高効率な充放電には各バッテリーセルの充電状態を管理するためのバッテリーモニターICが必要だ。
従来のバッテリーモニターICは、電圧と電流の測定によって各バッテリーセルのSOC(State of Charge、満充電を100%としたときの充電率)を推定する機能が一般的だった。これに対してBQ79826Z-Q1は、独自開発のEISエンジンを内蔵することで、バッテリーセル内部の異常をリアルタイムで検出する機能を備えている。
EISは、バッテリーの研究開発や量産工程などで用いられてきた測定手法で、以下のような原理になっている。まず、バッテリーセルに交流の励起電流を印加し、その応答となる電圧を測定してインピーダンスを算出する。このインピーダンスからは、横軸を実数成分、縦軸を虚数成分とするナイキストプロットを行えるが、その形状はバッテリーセル内の状態によって変化する。そして、複数の周波数の励起電流から算出したインピーダンスを基にプロットを作成してその形状の変化を分析することにより、バッテリーセルの温度や充電率、健全性などを推定できる。体組成計に用いられている生体インピーダンス法も同様の原理で体脂肪率などの体組成値を推定している。
BQ79826Z-Q1は、内蔵のEISエンジンを用いることで、バッテリーセルの中心温度を推定できる。これによりバッテリーモジュールやバッテリーパックの状態を把握するために多数組み込まれている温度センサーの削減につなげられる。EISエンジンから得られるバッテリーセル固有の情報により、バッテリーの熱暴走も早期に予防/検知できる。そして、充電状態をより正確に推定することで、各バッテリーセルに負担をかけずに長寿命や急速充電も実現できるようになる。
また、業界初となる26セル直列接続によりIC1個当たりの監視できるバッテリーセル数を大幅に増やした。TIの前世代品は18セル直列接続だったので44%増加していることになり、その分だけ部品コストや回路基板のスペースを削減できる。
バッテリーセル電圧の測定精度は、0〜5.5Vの電圧範囲で2mV未満を達成しており、高精度に充電率を推定できるとしている。自動車向け機能安全規格であるISO 26262については、最も高い要求安全レベルであるASIL-Dに対応した。
BQ79826Z-Q1は、バッテリージャンクションボックスパックモニターIC「BQ79881-Q1」とオプションとなるTI通信ブリッジを併用することで、異なるモジュールサイズやバッテリーの化学的構造、機械的設計に対応できるチップセットを構成できる。この柔軟性により、小型EVから大型ESSまでバッテリーモジュール/バッテリーパックに同じ技術を適用して開発することも可能だ。
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