両社が開発を進めるDOCシステムの特長は「DOCシステム内でのCO2の損失抑制」「海水中の有価資源を回収する基礎技術」「既存インフラとの統合が容易なシステム構成」の3点だ。
「DOCシステム内でのCO2の損失抑制」に関して、「通常、回収したCO2は後工程のために濃度を高める『純化』を行うが、各プロセスだけに着目すると一部のCO2を回収しきれず漏れてしまう。そこで、われわれのDOCシステムは回収プロセスと純化プロセスをシステム全体で捉えており、漏れ出たCO2を再循環させることで損失を抑制する仕組みを確立した」と小松崎氏はいう。
さらに、「他社は『回収装置』単体に注力しがちだが、われわれは初期からシミュレーターを用いて、純化装置も含めたシステム全体の最適化を図ってきたため、この再循環システムを実現できた」と説明した。
「海水中の有価資源を回収する基礎技術」は、DOCシステムによるCO2回収の過程で海水に含まれる特定の主要資源を副産物として抽出する。小松崎氏は「海水には多様な資源が溶け込んでいる。CO2回収の過程で、主要な有価資源を選択的に抽出する技術も確立した。これにより、CO2だけでなく資源販売による収益の多様化を図る」と語った。
「既存インフラとの統合が容易なシステム構成」について、「初期投資を抑えられ、迅速な社会実装に対応するため、既存の海水淡水化施設や発電所の復水器など、大量の海水をくみ上げる設備と統合できるモジュール構成で開発を進めている」と小松崎氏は触れた。
VTTの研究所内には、開発された40フィートコンテナサイズのDOCシステム基礎技術検証機が配置されている。この検証機は、取水/前処理、電気化学処理、気液分離のユニットなど、DOCの基礎となるユニットが全て統合されているという。
両社はDOCシステムのビジネスモデルとして、特定物質を抽出/回収し、収益性を強化する「有価資源販売ビジネス」、回収したCO2を利活用先に供給する「CO2資源化ビジネス」、カーボンクレジットを発行する「クレジット販売ビジネス」を想定している。
三菱電機 常務執行役 サステナビリティ・イノベーション本部長の小黒誠司氏は「次のステップとして、VTTとの協業をさらに強化し、沿岸部でのフィールド試験(実証実験)に移行する。また、実用化/商業化を加速させるため、既存のインフラを持つ新たな協業パートナーを広く募っていく」と明かした。
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