2027年3月期の業績予想に関して、売上高は対前年同期比3%増の3兆8000億円で、営業利益は同897%増の3000億円、コア営業利益は同36%増の3050億円、当期利益は同155%増の2000億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は同974%増の1270億円を見込んでいる。
なお、業績予想値にはホルムズ海峡の事実上の封鎖をはじめとした中東情勢の影響は織り込んでいない。しかし、仮に足元の情勢が9月末まで継続する場合、2027年3月期予想のコア営業利益に対し、約180億円の下振れを見込んでいる。
木田氏は「現在、三菱ケミカル 岡山事業所(岡山県倉敷市)のエチレンプラントの稼働率は約8割を維持できている他、今後のナフサの調達についてもきちんと見通しが立っている。ナフサを全く調達できない状況までは想定しなくて良さそうだ。当社は手応えを感じており、顧客に迷惑を掛けずにエチレンをはじめとする基礎化学品などを供給できそうだ。しかし、鹿島事業所(茨城県神栖市)のエチレンプラントは定修に入っているため、定修後の立ち上がり時に市場がどうなっているかを慎重に見極めて生産を行う必要があるとみている」と話す。
その上で、「一方、ナフサの値段は高くなっている。直近では、国産ナフサの価格指標(MOPJ)は1トン(t)当たり1000ドル近辺を推移しているため、ナフサ由来の化学品の価格も高くなると考えている。当社でも、コア営業利益への影響額として180億円を見込んでいるが、ナフサ価格の上がった部分は顧客にもある程度負担してもらう前提のコストだ。180億円のうち100億円は、アクリル樹脂(MMA)事業での下振れで起きるとみている。当社は、中東にMMAの生産拠点を構えており、生産や輸出でホルムズ海峡封鎖の影響が生じるだろう。中東情勢悪化が長引くと、影響もそれなりに大きくなると予測している」と触れた。
三菱ケミカルグループ 代表取締役社長 最高経営責任者(CEO)の筑本学氏は、中東情勢悪化に伴うホルムズ海峡封鎖によって、化学品のグリーン化が進むという考えを示した。「中東でのホルムズ海峡封鎖の問題が起こってから、化学産業に対する一般消費者の見方が変わったと感じている。社会のインフラとしてさまざまな国内企業が化学品を確保できるようにするために、当社は以前から政府の支援を受けて化学品のグリーン化を進めてきた。その動きが加速すると考えている」(筑本氏)。
同社では代表取締役社長直轄のグリーンケミカル事業推進室を2026年4月に発足させたという。筑本氏は「2027年には複数のグリーンケミカル事業の事業化が完了する見込みだ。中身は、鹿島事業所で行っているプラスチック油化ケミカルリサイクルや、アラブ首長国連邦(UAE)の首都であるアブダビで実施している『グリーン水素を活用した太陽光発電』などだ。アブダビでの太陽光発電は効率がよく安価で電力を得られる。今後はグリーン水素を利用したバイオメタノールや持続可能な航空燃料(SAF)の製造、国産木材由来のバイオマスを利用した事業も検討している」と展望を明かした。
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