ガス吸収は、溶解の方法によって物理吸収と化学吸収の2種類に分類されます。
物理吸収は、気体が液体に純粋に物理的に溶け込むだけの吸収方法です。溶解度には限界があり、大量のガスを処理するには大量の吸収液が必要になります。水に二酸化炭素が吸収されるのは物理吸収です。ただし吸収した気体を別途回収することで容易に再生させられるメリットがあります。
化学吸収は、処理したいガス成分と吸収液の成分と化学反応させることで回収する方法です。吸収させるために気液界面から液体側に侵入したガス分子は、即座に化学反応を起こして別の物質に変わります。酸性ガスを吸収するために水酸化ナトリウム水溶液と中和反応させる方法が有名です。吸収スピードが速く、物理吸収より小さな装置で効率よくガスを処理できるようになります。
ガス吸収のスピードを上げるには、気体と液体の接触面積を可能な限り大きくする必要があります。つまり、表面積の大きな場所で気液接触させます。これを実現するために、工業的には充填塔などの装置が使われます。充填塔の内部にはラシヒリングのような充填物が詰め込まれており、表面積が大きくなるよう設計されています。これは蒸留や抽出の工程でも使われている設備です。
ガス吸収(気液接触)の場合、上から吸収液をシャワーのように降らせ、充填物の表面に薄い液の膜を作ります。そこに下から処理したい気体を吹き上げ、充填物の隙間を通します。このように、気体は下から上へ、液体は上から下へ、互いに逆向きに流れながら接触する方式を向流接触(こうりゅうせっしょく)と呼びます。向流接触にすると、塔のどこを切り取っても気体と液体の間に常に濃度差が維持されます。濃度差は吸収の駆動力となるため、極めて効率よくガスを吸収できます。
今回は、ガス吸収がどのような原理で起こり、化学工学においてその現象をどう捉えるのか、という概念について解説しました。余談ですが、ガスを固体に接触させて固定化する操作は「吸着」と呼ばれます。この吸着操作に関しては別の回で解説予定です。
次回は、今回学んだ概念を参考に、ガス吸収の具体的な計算方法について解説します。
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