日本ペイントグループは現在、NP Assistantに搭載するAIエージェントとして、実験結果検索・配合最適化エージェント、知財エージェント、原料情報検索エージェントの開発を進めている。津島氏は「複数のエージェントがワンストップで利用できるマルチエージェント環境を構築中だ」と述べた。
その中の1つである原料情報検索エージェントは、コスト情報データベース、配合データベース、互換情報データベース、化学物質調査データベースを参照し、原料情報の検索や商品仕様書情報検索タスクに対応する。コスト情報データベース、配合データベース、互換情報データベース、化学物質調査データベースは2026年度に完成予定だ。同エージェントは現在、一般工業用塗料分野でトライアルを行っている。
津島氏は「原料情報検索エージェントを使えば、『今安価で安定的に入手できる代替原料は何か?』『それに置換した場合のコスト削減効果はいくらか?』を即座に計算できる。さらに画期的なのは、ただコストを弾き出すだけでなく、技術情報検索エージェントと連携し、『その原料に変更した場合に生じ得る技術的リスク』もAIが同時に提示してくれる。2026年からトライアルを開始し、間もなく正式なローンチを迎える予定だ」と効果を示す。
NP Assistantの利用者数は、運用を開始した2023年10月から約2年半が経過した2026年2月までに約8倍になっており増加傾向にある。
一方、日本ペイントグループはNP Assistantの最終的な目標として「自律型AIによる業務プロセスの完全自動化」を掲げている。
丸山氏は「現在のNP Assistantで採用しているWebブラウザベースのユーザーインタフェースを介した検索は、結局のところ『人間がAIに質問する』というプロセスが介在している。このプロセスの自動化を目指す。例えば、顧客から深夜にトラブルの問い合わせメールが届いた際、AIが自動的に対象のRAG型検索ツールを参照し、過去の事例から適切な対応策を導き出して返信の下書きを作成するような環境を構築したい。ロボットによる物理的な自動化まではいかずとも、間接部門的な問い合わせ対応や情報処理において、『AIが自動で判断して情報を届けてくれる世界』はそう遠くはない」と展望を明かした。
加えて、「生成AI特有のハルシネーション問題については、現在もガイドラインの整備とフィードバックを通じた辞書のアップデートで精度を上げ続けている。今後も進化し続ける基盤モデルに遅れることなく、技術伝承と業務効率化の最前線を切り開いていきたい」と付け加えた。
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